年末進行の多忙により、更新がやや遅れてしまったが…
今回は、1995年(平成7年)に西陣から登場した、CRデジパチ「CR撃墜王」について。
某・人気アニメ映画「紅の〇」などを彷彿とさせる、プロペラ戦闘機がモチーフ(黒いサングラス姿のパイロットの風貌も、それっぽく見えた)。
また、デジタル回転音や大当りBGMは、有名な「サン〇ーバード」のテーマを思わせた。
まぁ、過去の「名作」から、あれこれと「影響」を受けるのは、当時のパチの定番でもあったが…。
それでも、戦闘機が左右に飛び回ったり、その下を流れるデジタルが、奥から手前にグングンと迫ってくるアクションには、独特の「味」があった。
リーチアクションは「3パターン」とシンプルだったが、ノーマルでも多少は期待が持てたり、激アツとなる「SPアクション」もあったりして、退屈せずに楽しめた。
スペック的に見ると、当時のCRで流行りだった「フルスペック」(確変突入率1/3、プラス2回ループ)とは違って、同じプラス2回ループでも、突入率(継続率)「4/19(1/4.75)」と、低く抑えてあった。
その分、初当り確率はCR機にしては高めで、CRに有りがちな1000G超えの「特大ハマリ」は、割と喰らう機会が少なかった。
また。設定が3段階あった為、高設定台に座れれば、自然と勝つチャンスが広がった。その為、釘チェックに加えて、シマの挙動をよく観察して、初当りが多い台を探す事も肝要となった。
さらに、確変終了後は、必ず「200回の時短モード」に入る仕様。「狭き門」の確変に、いったん突入してしまえば、ワンチャンスで爆裂する可能性も秘めていた。
一方、設定やヒキ次第では、「単発当り」のみがポンポンと繋がって、確変ゼロで勝つ事もあった。
都内での設置率は高めで、大きな繁華街のホールを回れば、どこか1軒は入っている感じだった。馴染みの「新宿」も同じで、日拓、オデヲン、ジャンボ、アラジン、メトロなど、本機を導入した店舗は多い。特に、東南口の「平和」(2013年閉店)は、2000年以降も「みなし機」として、本機を置き続けていた(但し、ヘソ釘は…汗)。
(基本スペック)
★ステレオスピーカー付きの真っ赤な新枠、「アルファ」を本機で初採用
(旧枠は、「CR花満開」等に使われた「Y&O枠」)
⇒アルファ枠は、後続の「CRヤッタルデー」にも使われたが、何故か、定番となる事なく、あっという間に姿を消してしまった。
★メイン画面は、6インチの小型CRTモニター(ブラウン管)、液晶より鮮明な表示が可能。
★天下にワープの入口有り。ここに入ると、画面下のステージ上に出て、手前のヘソに転がる。
(ステージ⇒ヘソの入賞率は、釘や「ネカセ」で変化した)
★賞球…5&10&15(ヘソ5個戻し、アタッカー15個戻し)
★大当り確率(通常時)…設定1=1/275 設定2=1/315 設定3=1/350
★最高16ラウンド継続(出玉=約2300個)
★デジタル停止順…左⇒右⇒中
★図柄
・左右…緑の「0、2、4、6、8、9、A、B、C、D、E」、赤の「1、3、5、7」 (計15図柄)
・中…左右と同じ15図柄に加えて、緑の「1、3、5、7」もアリ (計19図柄)
★大当り図柄…計19通り
・赤の同色揃い(4通り)
・左右赤で、中のみ緑の色違い(4通り)
・緑の同色揃い(11通り)
⇒左右で「1、3、5、7(赤)」がテンパイすると、中デジの大当り図柄は「赤」(確変)「緑」(単発)の2通りあるので、事実上の「ダブルリーチ」となる。
★全19図柄中、「1、3、5、7」の赤揃いで当ると、プラス2回の確変に突入
(突入率4/19、ループあり)
⇒赤「1、3、5、7」の大当りは、中デジが「赤」か「緑」かで、雲泥の差となる。確変リーチ時は、否が応でも中デジの行方に注目してしまうが、大抵は「緑」の方が揃ってガックリする。
⇒確変中は、デジタル画面に「高確率中」の表示が出現。
★大当り確率(確変中)…設定1=1/91.7 設定2=1/63 設定3=1/50
⇒確変中は、通常時と逆に、低設定ほど高確率となり、次の大当りが早く来やすい。よって、確変中の挙動から、ある程度は設定を読めた(確変中にハマり易いほど、設定1を期待)。しかし、肝心の確変に入るのが大変。
★確変終了後は、必ず200回の時短に突入
CRならではの「プラス2回ループ」爆裂に加えて、現金機で注目された「時短」(「お助け連チャン」とも呼ばれた)も搭載した本機。確変突入率の低さをカバーする役割。
⇒200回以内の「引き戻し率」は、最低の設定3でも43.45%。設定1なら51.74%とハイチャンス。ループ率が「4/19」と低く、ワンセット終了が多かった本機だが、200回の引き戻しゾーンで再び確変を引くこともあり、ツボにハマれば、フルスペックに負けず劣らずの爆裂ぶりを見せた。
★小デジ変動時間…通常時=約29秒(一定)、確変中/時短中=約1秒~約6.1秒(不定)
(小デジ始動時の保留点灯数や始動タイミングにより、変動時間は1秒~6秒の間で変化)
⇒左右の肩チャッカー(「GO」)通過で、天下の7セグデジタル(1桁)が始動(保留ランプ4つ付き)。「7」で当選、ヘソ下の電チューが開放する。
★小デジ当選率…常に1/4(通常時、確変中、時短中の区別なし)
★電チュー開放時間…常に3.1秒(又は2個入賞)
★通常時の「止打ち攻略」について
上記のように、小デジタル確率が「常に1/4」、電チュー開放時間が「常に3.1秒」、そして通常時の変動時間が「約29秒」と一定だった事から、電チュー開放に合わせて数発を打ち出す、通常時の「止打ち攻略」が編み出された。
本機よりも前に出た、ニューギンの「エキサイトレディ―2」(業界初の「時短デジパチ」)でも、やはり止打ち攻略が発覚して、「通常時、電チューの開放タイミングを狙えば、1000円で80回もまわる」と、必勝G誌で騒がれた。同誌はEレディの止打ちを「昇天打法」と呼んだが、後に出てきた本機の止打ちについては、台のイメージに合わせて「大当り迎撃打法」と命名した。
止め打ちの方法はシンプル。左右の肩チャッカー(小デジ用の「GO」チャッカー)を通過したら、手元のストップボタンで打ち出しを停止する。同時に、秒針付きの時計※などで、カウントを開始。肩チャッカー通過から27秒経ったら、玉を「8発」だけ打つ。但し、小デジがハズレた時点で、8発未満でも即、打ち出しは停止。小デジが当った場合、キッチリ8発打って打ち出しをヤメる。以後は、「小デジ始動開始から27秒打たずに待機⇒27秒後に8発打ち出す」を繰り返す。これで、無駄玉が大幅に節約される格好だ。
※盤面のランプ点滅を目安にすると、デジタルが回っている時と停止中で点滅タイミングが変化する為、タイミングがとりにくい。
なお、止め打ち実行中、打ち出した玉が天下のワープ入口に入ってしまうと、ヘソに届く時間が不安定となる。その為、ストロークは弱めにして、ワープを避けて打ち出すのが効果的、とされた。
しかし、この止打ち攻略には、大きな問題点があった。確かに、上記手順を使えば、「1000円当りの回転数」は、普通に打つよりも多く稼げる。しかし、「27秒」も待って「8発」だけ打つのは、非常に根気のいる作業。しかも、同じ時間内に回せるデジタル回転数は激減する為、「時間効率」の面で大きなハンデがあったのだ。「理論上は効果があっても、実戦的ではない」との批判が多かった。
★リーチアクションについて
本機のリーチアクションは3パターンのみ。「シューティングリーチ」(=ノーマルリーチ)と、SPリーチの「マシンガンリーチ」、そしてマシンガンから発展する「アクロバットリーチ」の3種類。
・シューティング(ノーマル)…左右テンパイ後に画面が赤くなり、戦闘機が中デジタルを機関銃で狙い撃つ。中デジは高速回転とスローを繰り返すが、スローになるのは、リーチ図柄の2コマ手前から1コマ先まで。1周目で当る「ショート」と、2周目に当る「ロング」がある。
・マシンガン…通常、奥から手前に「平行移動」するだけの左右デジタルが、いきなり「縦回転」(縦スクロール)を始めると、このリーチに発展する。左右テンパイ後に、画面が黒く変化。リーチ中に、戦闘機が中デジを狙撃するアクションは、シューティングと共通。
・アクロバット…マシンガンから発展。中デジが一旦ハズレで止まると思いきや、戦闘機が急下降⇒急上昇を見せる。同時に、全図柄が上に持ち上がった後、左右の図柄が「パラシュート」付きでゆっくりと降下。同時に、中デジは縦回転でスクロールする。高確率で大当りに繋がるゲキアツリーチ。
なお、確変中は、リーチアクション無しで、いきなり揃う事が多い。
上記リーチの信頼度は、設定や図柄によって異なる。全リーチにおいて、(1)高設定ほど信頼度がアップ、(2)確変図柄リーチの方が、単発リーチより信頼度が高い。
以下は、平均的といえる「設定2」のリーチ信頼度を示したもの。
ノーマル…確変⇒5.3% 単発⇒2.57%
マシンガン…確変⇒7.62%、単発⇒3.73%
アクロバット…確変⇒91.9%、単発⇒85%
(リーチ出現率は、言わずもがなだが、ノーマル>マシンガン>アクロバットの順となる)
★故・田山幸憲プロと本機との関係
※参考文献…名著「パチプロ日記」(V)(VI)(VII)(田山幸憲著、白夜書房)
1996年~1997年(平成8年~9年)の桜新町「H店」※(パチーノヒノ)時代に、田山さんは本機と対峙した事がある。但し、舌ガンの手術直後で、体調的には、かなりキツイ時期であった。
※H店は、地下がCR機、地上が現金機とパチスロ
H店での遭遇当初、本機は、田山さんにとって「何だかよく分からない台」或いは「通路を引き返す際の風景」程度の認識に過ぎなかった(その頃のメイン機種は、同じCR機でも、「CR球界王EX」「CRバトルヒーロー」「CR黄門ちゃま2」といった辺り)。
その後、常連仲間の「モデル・オノ」氏や、夫人の「マダム・オノ」女史などが調子良く出すのを見て、段々と「守備範囲」にしていったようだ。それでも、さほど「積極的に追っていた」様子はなかった。
そんな中、とりわけ印象深いのが、H店の撃墜王のシマ、左から三番目の「78番台」だ。
田山さんは、この台を「後学のために」初めて打ってみたところ、一度も確変を引かず、10回出した大当りが全て単発だったが、それでも計2万円の勝ちをモノにする。その翌日、再び同じ台にて挑戦したところ、またも確変に巡り合えず、計8回の当りはいずれも単発で、結果は「チョイ勝ち」だった。
つまり、2日続けて本機を実戦したが、「18回連続」で単発を引いてしまった訳だ。幾ら、突入率「4/19」と低くても、これではちょっと悲しい。だが、収支でいえば「2戦2勝」なので、初当りのペースは決して悪くなかった。もしかして、二日間とも初当りの甘い「設定1」の台に座って、たまたま確変が引けずに、「ノーマル然」とした出方になったのではないか。
因みに、その日の実戦では、途中で溝の口B店(PSビッグトップ)時代の常連であった「ヤカン君」が久々に顔を出したり、田山さんが打っている撃墜王のシマに「モデル・オノ」夫妻がやって来て、オノ氏がお座りたったの3回転で確変を引いたり、ある熱心なファンが田山さんにサインを貰いに来たが、用紙に「田山」と書いた途端に大当りしてしまい、サインが名字までしか書けなかったりと、様々なエピソードがあった。
日記を読む限り、その後、本機との実戦場面はあまり出て来ない。実際、「オレは撃墜王を打って二十三回くらい当てているが、一度も確変を当てたことがない。ついにそのまま、こいつとはお別れする事になりそうだ」と述べている。
その間、H店における本機の「シブ釘化」も酷かったようで、田山さんが朝一に地下でCR機の釘を見て回る際には、必ずと言ってよい程、撃墜王のシマが「とても打てそうにない」(シメシメルックな)状況である旨を、嘆くがごとく報告していた。
(「その奥の黄門ちゃまと撃墜王は無用の長物。年が改まっても、クギの方は一向に改まらない。過去の栄華を胸に秘め、ただひたすら死期を待っているだけ」など)。
★兄弟機について
「撃墜王DX」(現金機デジパチ、1995年登場)
大当り確率1/230の「2回ワンセット」機(確変デジパチ)。
全19図柄中、「1、3、5、7」の赤数字で当ると、次回までの小デジ確変(ループなし)に突入。この時、小デジの大幅な時短が働く為、出玉をほとんど減らさずに、次回大当りをゲットできる仕組み。一方、それ以外の15図柄で当ると、次回までの小デジ確率アップはあるが、肝心の「時短」がなく、確変中の玉減りが大きい(止め打ちでの対処法もあるが…)。また、コチラはCR版と違って、ノーマルリーチからアクロバットリーチに発展する事がある。