今回も、過去記事の紹介で恐縮だが…1996年(平成8年)7~9月に日テレ系でOAされた、松本明子主演のドラマ「グッドラック」を久々に取り上げたくなり、コチラの過去記事を引っ張り出した。
http://blog.goo.ne.jp/selfconfide777mc/e/4efdbe572ced6a46a4c0303100cbd603
松本明子演じる主人公・飛鳥鈴子(あすか りんこ)が、急逝したパチンコ店初代オーナー・光太郎(橋爪功)の後を継いで、慣れない二代目オーナーを務めた、「飛鳥球殿」(JR代々木駅東口の「平和会館」(閉店)がロケ地)が懐かしい。今回は、第1話の概要を新たに加えたので、興味ある方はご覧を。
(「グッドラック」第1話の概要…ネタバレあり)
商店街の片隅で、地元客相手に細々と営業する、老舗の小さなパチンコ店、「飛鳥球殿」。
手打ち時代から自ら釘を叩き、店を切り盛りしてきたオーナーの飛鳥光太郎(橋爪功)には、長女・鈴子(松本明子)、次女・友利(秋本祐希)という、共に暮らす二人の娘がいた。
鈴子は三十路間近の銀行OLで、妹・友利は海外留学予定の女子大生。早くに妻を亡くした光太郎は、男手ひとつで二人の娘を育てあげたが、そんな父の苦労とは裏腹に、娘達は家業のパチンコ屋…というかパチンコが大嫌い。
ある朝、結婚願望の強い鈴子は、結婚相手を家に連れてくると父に告げるが、父も友利もまともに取り合わない。過去に二度、結婚するはずの男にフラれた、「前科」があるからだ。鈴子が、今日来る彼に「娘さんを下さい」と言われたらどうするの、と真剣に問いかけても、光太郎は「脳ミソ、フィーバーだね!」と茶化してしまう。
それでも、自分の小さな「城」である飛鳥球殿に来ると、気心の知れた店員や常連に、「娘がやっと結婚できそうだ」と嬉しそうに話す。何だかんだいって、光太郎も我が子の幸せを願っていた。
そんな彼のもとで働く従業員は、ベテラン主任の松岡(金田明夫)、ホール係の杉本(原田泰造)に長谷川(伊藤俊人=故人)。景品カウンターには、ちょっと斜に構えた妙子(網浜直子)と、元気だけが取り柄の緑(宮地直子)。大型店には遠く及ばぬ小所帯だが、人情に篤い光太郎を慕って、みな甲斐甲斐しく働く。
対する常連客は、八百屋(ドン貫太郎)、床屋(山田明郷)、易者(徳井優)、浪人生(桑原貞夫)、主婦(高木孝子)といった面々。こちらも、光太郎の人柄に惚れこむ、地元客ばかり。いつも開店前に並んでは、10時の開店と同時に、お目当ての台を目指して突っ走る。
そんな折、鈴子は同僚で恋人の秀明(愛称はヒデちゃん※)(川本淳一、現「淳市」名義)から、突然の「別れて下さい」宣告を食らう。彼には、別に好きな女性が出来たのだった。しかも、同じ職場にいる鈴子の後輩。またも、直前になって男に逃げられた鈴子は、大ショックを受ける。ヒデちゃんに作った愛情弁当を、ビルの屋上で「バカヤロー!」と一人ヤケ食い。
※当時、松本がレギュラー出演した深夜バラエティ「DAISUKI」の共演、中山秀征を意識した役名と思われる
一方、鈴子の父・光太郎のもとには、地味な黒のスーツを着た、猫背のメガネ男が訪れる。かつて、飛鳥球殿で凄腕の「ジグマプロ」として鳴らした、藤堂竜作(佐野史郎)だ。竜作は、訳あって光太郎の前から長く姿を消していたが、縁あって小さなバーの雇われ店長をする事となり、久々に地元へ戻って来たのだ。釘師としても一流の光太郎と、実力派の元パチプロ・竜作…古きよき「ライバル」との再会を嬉しく思った光太郎は、二人の思い出話に花を咲かせる。
そこへ、再開発事業を手掛ける「黒部興産」の高原俊輔(豊原功補)がやってくる。彼は、飛鳥球殿と周辺の土地を買収して、大型ショッピングセンタービルを建てる、「再開発プロジェクト」のリーダーだった。だが、常連の為に、昔と変わらない形でパチンコ店を続けたい光太郎は、「店も土地も絶対売らない」と突っぱねる。土下座で必死に頼み込む俊輔だが、光太郎の怒りは増すばかり。すると、あまりの興奮と心労で、持病の心臓発作が出た光太郎は、その場で倒れてしまう。焦って駆け寄る俊輔に、「動かすな、すぐ救急車を!」と、冷静に指示する竜作。
父が倒れたとの報に、急いで病院に向かう鈴子。友利や俊輔と共に病室へ入ると、「心筋梗塞」と診断された光太郎が、弱々しくベッドに横たわっていた。だが、光太郎は、自身の容体よりも鈴子の結婚相手が気になり、「どんな男だ?いい男なのか?」としきりに尋ねる。そんな父に、「フラれた」とは、とても言い出だせない鈴子。適当に誤魔化していたが、最後には思わず「いい男だよ…」と嘘をついてしまう。一方、俊輔の好青年ぶりに惹かれた鈴子は、出会って間もない彼に、淡い恋心を抱く。
翌日、鈴子は倒れた父に代わって、飛鳥球殿での仕事を手伝う。だが、「パチンコど素人」の彼女は、ハッキリ言って足手まといだった。従業員達に呆れられて、ホールから事務所に追いやられる。そこで、偶然出会ったのが、店に出入りするメーカー(ラッキー商会)の若手営業マン、祐二(原田龍二)だった。鈴子をただのバイトと勘違いした祐二は、先輩風を吹かせるが、彼女が光太郎の娘と知った途端、恐縮する。さらに、お世話になった光太郎に恩返ししたいと、店の手伝いを申し出る。
フロアに戻った鈴子と祐二は、ハネモノ数台を一人で掛け持ちして打つ、ガラの悪い客(BOB藤原)と遭遇する。祐二は、店員の注意を聞き入れない客に、「掛け持ちお断りの看板が見えないのか?漢字が読めなきゃ、想像で読むんだよ!」と、嫌味タップリに注意。その態度にブチギレた客と、小競り合いが勃発。そこに、通りすがりのセールスマン、佐藤年男(勝村政信)が現れて、「別のパチ屋で押さえておいた、釘のガバガバな台を譲る」というと、掛け持ち客は喜々として店を飛び出す。とっさの機転で混乱を救った佐藤は、主任の松岡から謝礼代わりに小箱一杯の玉を受け取ると、「ついでだから」と、自身が営業で売り歩くチベットの怪しい秘薬、「チべトロンX」を常連に宣伝して回る。
さて、結婚目前になって、またも挫折を味わった鈴子は、仕事でも絶不調だった。元彼を奪われた後輩とは気まずくなった上、後輩の仲間からもつまはじきに遭う。挙句に、銀行の窓口業務から、電話交換係への「左遷」。もはや、職場に自分の居場所などない…そう悟った鈴子は、荒んだ気持ちを癒そうと祐二と飲みに出ると、昼間出会った佐藤と居酒屋で再会する。愚痴を言い合い、ベロベロになった三人が飛鳥球殿に戻ると、自分をフッた元彼のヒデちゃんが、神妙な面持ちで鈴子を待っていた。「ヨリを戻しに来た」と思った鈴子は、「私にも、女のプライドってもんがあんだよ。土下座したって、許してやんないから」と、精一杯強がる。だが、ヒデちゃんにそんなつもりは毛頭なく、鈴子を憐れに思い、「手切金」を渡しに来ただけだった。つくづく、男を見る目がない…そう痛感した鈴子は、札束入りの封筒を持ったヒデちゃんに、強烈なパンチをお見舞いする。
一方、駅前再開発を狙う黒部興産も、そのまま黙って手をこまねいてはいなかった。若きリーダーの俊輔は、嫌われているのを百も承知で、土地の売却を求めて光太郎のもとを何度も訪れる。社長の黒部辰吉(西田健)から「買収の為なら、幾らでも使え」と小切手帳を渡された俊輔は、是が非でもプロジェクトを成功させねばならなかった。「飛鳥球殿を私共にお任せ願えれば、ビルのテナントとしてお店は残します。借金も、全て肩代わりします」と言葉巧みに誘うが、光太郎には全く通じない。すると俊輔は、自分に好意を抱く鈴子に、光太郎の説得を頼み込む。好きな相手から依頼されて、まんざらでもない鈴子。「今の時代、そういう生き残り方もアリでしょ?」と、頑固な父を説き伏せようとする。一方で、俊輔と祐二が実の兄弟である事を知り、複雑な気持ちにもなる。
因みに、黒部興産の社長、黒部には、美沙子(真梨邑ケイ)という愛人がいた。妙齢の和装美人で、銀座の高級クラブでママをしている。その美沙子には、実は、竜作の「元妻」という意外な過去があった。黒部のもとから車で銀座に戻る途中、美沙子は、飛鳥球殿の近くをトボトボ歩く、竜作の姿を偶然見かける。思わず車から降りて、竜作に声をかけた美沙子。その彼は、近くで「グッドラック」という名の、小さなバーをオープンする予定だった。
一方、甘い言葉で光太郎に土地の売却を勧める俊輔だが、彼の誘い文句は巧みな「罠」だった。「テナントとして店は残す」といいながら、移転予定先のフロアには、パチンコ屋と全く関係のない、ファミリーレストランを出店する「裏計画」があったのだ。全て、黒部興産のドス黒い策略だった。兄・俊輔の仕掛けた「カラクリ」に、たまたま気付いた弟の祐二。鈴子と一緒に、病室の光太郎のもとを訪れる。「突っぱねて正解でしたよ、危うく、ヤツラに騙される所でした」と裕二は言うが、光太郎の様子がどうもおかしい。実は、鈴子の説得により、黒部興産に店を任せてもいいと思い直した光太郎が、自ら俊輔を呼び寄せて、仮契約書にハンをついてしまった、というのだ。
まさかの事態に、愕然とする鈴子と祐二。一方、まんまと俊輔に騙されて、怒りに震える光太郎は、ベッドから起き上がり、猛然と病室を飛び出すが、廊下で再び発作が起きて、その場に倒れ込む。
ストレッチャーに乗せられ、苦悶の表情で手術室に運ばれる光太郎。傍らの鈴子に、「あいつなら…店を守ってくれる…ブッコミ…ブッコミの…」と、必死に声を絞り出した後、「鈴子、よかったな、嫁に行けて…」と最後の言葉を残したまま、帰らぬ人となる。息絶える前、光太郎の手からこぼれ落ちたのは、「アスカ」と刻印された、手打ち時代の錆びついたパチンコ玉だった。それを拾い上げた鈴子は、手術室に向かう父の背後で、「お父さーん!」と涙ながらに何度も呼び続けた。
父は死んだ…。いいようのない悲しみに、打ちひしがれる鈴子。灯りの消えた飛鳥球殿から、喪服姿のままフラリと外に出ると、夜の原宿陸橋の上で、ヘッドライトやテールランプの連なる車列を、ぼんやり眺めていた。そこへ、グデグデに酔っぱらった、ダメセールスマンの佐藤が通りかかり、酷く落ち込んでいる鈴子を見ると、「女性にも効きます」と、売り物のチべトロンXを彼女に手渡す。
佐藤の激励で、少し元気が戻った鈴子は、雨の降りしきる中、店に戻る。すると、誰もいないはずの飛鳥球殿のネオンが、命を吹き返したかの如く、いきなり煌々と光り出した。店に入った鈴子は、父の形見となった錆びたパチンコ玉を手に取り、ジッと見つめる。すると、背後から黒スーツの竜作がヌッと現れて、鈴子の手から銀玉をそっと取り上げると、こうつぶやいた。
「オヤジさん、釘をアタりながら、よく言っていた…。『面白れぇのは、玉がどこに落ちるかじゃない。どうやって落ちて行くかだ…』」。そして、パチプロ時代の自身の通り名が「ブッコミの竜」だった事を鈴子に告げて、「この店は、オヤジさんと共に終わる…」といって鈴子に銀玉を返すと、静かに店を立ち去る。
暗い店内に、一人残された鈴子。手には、形見の錆びついたパチンコ玉。竜作の、いや、亡き父の残した「どうやって落ちて行くか…」という言葉を、我が身になぞらえる。その玉を上皿にポンと落とし入れて、ハンドルをひねる。すると、キン、キン、キン…と小気味よい音を立て、右に左に弾かれた玉は、ヘソの始動チャッカーにスッと吸い込まれた。そして、リーチが掛かり、一発で777が揃って、見事に大当りする(台は、SANKYO「フィーバービューティフルII」)。
そして気が付けば、店の全台が賑やかに動き出して、どの台も、フィーバー、フィーバーで玉が溢れ出てくる。鈴子の足元には、台からこぼれ落ちた、無数の銀玉が散らばる。まるで、父が遠くから、元気のない自分を後押ししてくれている…そんな思いに駆られた鈴子。ピカピカと輝くパチンコ台を見つめながら、亡き父に思いを馳せて、涙を流すのだった。
翌朝、いつも通りに営業を続ける飛鳥球殿に、自信満々の表情を浮かべた俊輔が、大勢の部下を引き連れて現れる。手には、店と土地の「明渡し承諾書」が、しっかりと握られていた。店に入るや否や、全ての電源を部下に落とさせた俊輔は、「これが、ビジネスですよ」と、鈴子に本契約を迫る。
だが、鈴子は、手渡された契約書を、その場でビリビリと破り捨てる。あ然とする俊輔に、「店も土地も、誰にも渡しません。ここは、私の店です!」とキッパリ言い切った鈴子。不安げに見守る店員や常連の前で、黒部興産、そして俊輔との「対決」を堂々と宣言した…。
(第1話の概要、ここまで)
★10時開店前の飛鳥球殿で、光太郎と店員達が、お決まりの挨拶(声出し)を行うシーン(「いつも笑顔で!動作は機敏に、態度は明るく元気よく」など)。一通りの声出しが終わって、光太郎が「ミュージック・スタート!」と叫ぶと、オープニングテーマの「Good Luck」(Big Horns Bee)が流れる。
★ストレッチャーで手術室に運ばれる光太郎の背後で、鈴子が何度も「お父さーん!!」と悲しげに叫ぶ場面。そして、喪服姿の鈴子が悲しみに暮れる次のシーンでは、挿入曲「もっと静かに」(鈴里真帆)が流れて涙を誘う。
★鈴子が、俊輔の眼前で契約書を破り捨て、黒部興産との「対決」を表明した直後、エンディングテーマ「SQUALL」(氷室京介)が流れて、ラストのスタッフロールに切り替わる(バックでは、「カエルデジパチ」※の大当り画面が流れる)。
※番組用にSANKYOが作った、オリジナル台(大一の「ケロケロジャンプ」とは無関係)
グッドラック(松本明子)
1996年(平成8年)のパチンコTVドラマ「グッドラック」(主演:松本明子、日本テレビ 放映時期…1996年7月3日~9月11日(全11回))...
>続きを読む