今回は、1993年(平成5年)に平和から登場した現金機デジパチ
「プリンセス物語」について、少々振り返ってみたい。
★新要件機
★カラー液晶モニタ搭載
★新枠「BIG BONUS」枠
★「キララ」(女の子)が主人公
★大当り画面はRPG風。マルチエンディングストーリーになっている。
★賞球…7&15
★大当り確率…1/235(カウンタ―は0~234の計235コマ、大当り値は「4」)
★最高16ラウンド継続(10カウント)
★出玉…約2350個
★保留玉連チャン機(大当り中、保3、保4を大当り値に書き換える)
皆さんもご存知の通り、1990年代(’91年の新要件以降)の平和は、
「~物語」と名のついたデジパチを、立て続けに送り出した時期がある。
(全て液晶デジパチ)
その為、「物語」というと、冠名の「ブラボー」と同様、同社の「ブランドネーム」といった
印象が強かった。以下は、物語シリーズのリスト。本機は、数えて「第5弾」にあたる。
1990年代前半、平和デジパチ「物語」シリーズの系譜
1(保)麻雀物語(1991) ※業界初のカラー液晶モニタ搭載
2(保)麻雀物語Ⅱ(1991) ※「麻雀物語」のマンズVer
3(保)ダービー物語(1993) ※保3、保4連が強力(本機の連チャンのモデル)
4(繋)綱取物語(1993) ※数珠連と軍配リーチが特徴。ハマリモードは1/988と最悪
5(保)プリンセス物語(1993) ※綱取物語とほぼ同時期にリリース
6(ノ)弾丸物語(1993) ※物語シリーズ初のノーマルデジパチ
7(保)雀姫物語(1994)※エラー連チャン攻略アリ。登場後、まもなく販売自粛
8(ノ)弾丸物語SP(1994) ※弾丸物語の後継機。ノーマル機。
9(確)CR名画(名画物語)(1994) ※デモ画面で「名画物語」と表示。当初想定の名前か。
10(確)トランプ物語SP(1994) ※物語シリーズ初の(小デジ)確変機。「7、h」で突入。
(保)…保留連チャン機 (繋)…数珠繋ぎ連チャン機
(ノ)ノーマル機 (確)…CR(確変)デジパチ/(小デジ)確変の現金機
後に、ライバルの三洋が「CR海物語」(1999)をリリース。その後、海シリーズは
軒並み大ヒットしたので、「物語」のお株もすっかり三洋に奪われてしまった。
しかし、「本家」はあくまでも平和であろう。
さらに、1990~1993年辺りの平和は、「物語」シリーズに限らず、連チャン性を
ウリにした現金機デジパチを、多く登場させた。以下は、その代表例である。
(保)舞羅望極II(1990、旧)
(保)グリース(1990、旧)
(保)ブラボークイーン(1991)
(繋)ブラボーキングダム(1992)
(保)風林火山(1992)
(保)ブラボー烈火(1992)
(保)ブラボーミリオン(1992)
(保)ブラボーミリオンSP(1992)
(繋)ブラボーネクスト(1993)
(保)ブラボービート(1993)
(保)パーフェクト7(1993)
※(旧…オマケ付きの旧要件機)
平和にとっては、まさに「現金機デジパチ・黄金期」といえる状況だったが、
やがて、あの「ダービー物語事件」(1993年10月~)が勃発。CR機推進を
目論むK察当局が、「過度な釘曲げ」の違法を口実に、爆発的人気を誇った
現金機ダービー物語を、ある意味「見せしめ」にした、問題大アリ事件である。
平和の連チャン機「ダービー物語」(1993年2月登場)
地元L店での「8連チャン」が最高。あの時はテンションが上がった…
本機は、そのダービー物語事件が起こる、数か月前にリリースされた台。
当初は、ホールで大変な人気を誇り、ダービー物語の後継機に恥じない
客ウケだった。だが、事件の発生を機に、仕込み連チャンの現金機に対して
当局やホールが「悪」というレッテルを貼った以上、本機登場のタイミングは、
決して良かったとは言えないだろう。まぁ、それはともかく…
当時、流行りだった香ばしい連チャンは、本機にも、キッチリ受け継がれていた。
と言う事で、まずは、本機の「連チャン性」について。
本機は、先行機のダービー物語と同様、大当たり後「保3」「保4」の連チャンが
メインだった。また、その連チャンの仕組みも、ダービー物語のシステムを
ほぼ「踏襲」していた。
本機は、大当り中、アタッカーのVゾーンに「一定時間内の連続5個入賞※」があると、
その瞬間、保3や保4に入っていた古い乱数を、強制的に別の値に書き換える仕組み。
但し、必ず大当り値に書き換える訳ではなく、ハズレ値に上書きされる事もあった。
この書換に際しては、保3と保4に入る「18通り」の数字の組合せを、予め用意。
大当り値への上書き率は、「保3のみ書換」「保4のみ書換」「保3と保4の書換」が、
それぞれ「1/18」(約5.55%)であった。
※一定時間内の連続5個入賞
内部に、タイマー付き「Vゾーン入賞カウンター」が存在。立て続けのV入賞で、
カウンターが「-1」から徐々に上がり、カウンターが「4」になると書換が起こる。
カウンターが「4」になった瞬間は、アタッカー下のピンクのランプが派手に光る。
矢印で示した飾りランプの点滅で、「V5個入れ」の成否が判る。
ダービー物語では、デジタル上の丸い緑ランプの点滅で表示していた。
但し、直前のV入賞から約2秒経つとタイマーが働き、カウンター値は
1づつ下がっていく。よって、書換には、Vへの素早い連続入賞が必要。
この書換システムは、ダービー物語(以下「ダービー」と略す)とほぼ同じだが、
書換パターンを細かく見ると、両者には若干の違いがあった。
ダービーは、書換パターンが全16通りあり、そのうち、「保3のみ大当り」が1個、
「保4のみ大当り」が1個、保3・保4まとめて大当りが1個。つまり、ダービーの
保留連は、「保3ダブル」「保4ダブル」「保3保4トリプル」の3パターンが基本。
大当りへの書換率は、各パターンとも「1/16」である。さらに、書換は連チャン中にも
逐一行われる為、一たび連チャンが起きれば、4連、5連…と伸びる可能性もあった。
保3で連チャンした場合は、1/2の確率でトリプルが期待できた。
一方のプリンセス物語も、基本的にはこれと同じ。「保3ダブル」「保4ダブル」
「保3保4トリプル」の書換パターンが各1つづつ(計3つ)。書換の条件が
「V5連続入賞」である点も、ダービーと一緒であった。さらに、連チャン中に
書換が行われるのも同じで、コチラも4連以上する事がある。
但し、用意された書換パターンが、ダービーよりも2つ多い、「全18通り」。
一方、大当りへの書換パターンは3つなので、ハズレに書き換わる確率が、
ダービーよりもやや高くなっていた。
加えて、アタッカー上部の「ゲージ構成」を比べると、ダービーより
本機の方が、「Vゾーンに集まりづらい形」だった。
ダービーは、もともとVに流れ易いクギ配列だが、それを確実にすべく、
V上部のクギを、さらに大きく曲げていた。
一方の本機は、ゲージ上、アタッカー上部の玉がVの左右にバラけ易く、
「V5連続入賞」という書換条件を、ダービーよりも満たしづらい。
ただ、逆に言えば、アタッカー周りの釘が良さげな台は、その分
連チャン率も上がって、有利に戦えた。
(アタッカー上部の釘の比較。左のプリンセスの方が、Vゾーンに至る過程で、
アタッカー両脇に流れ易いゲージになっている。)
したがって、連チャン率では、ダービーの方に、明らかに軍配が上がった。
だが、本機とて、初当り確率(1/235)の割に、適度に保留連が訪れたから、
少々投資が嵩んでも、ワンチャンスやツーチャンスで取り戻せた。また、
その瞬発力が、本機の大きな魅力であった。
なお、当時、本機を「数珠繋ぎ連チャン機」と疑う向きも一部にあったが、
プログラム上の裏付けはない。あくまでも、保留連チャン以外は「自力」と
考えるべきである。
次に、「デジタル」と「リーチアクション」について。
図柄は、「0~9」の数字、王子、主人公(キララ)、鍵、聖水、花の計15種類。
各図柄の3つ揃いで大当り。
女の子が主人公なだけあって、先行機ダービーなどと違って、かなり
「メルヘンチック」な図柄デザインになっている。
少々目立たないが、数字図柄には、「花」のデザインがあしらわれている。
1が「スイセン」、2が「ウメ」、4が「サクラ」、5が「チューリップ」、6が「バラ」、
7が「ユリ」、8が「ひまわり」など。で、よく見ると、これらは数字に対応する
「各月の誕生花」である。なかなかに風情あるデザインと言えよう。
デジタル停止順は、「左・中・右」。左・中ゾロ目でリーチとなるが、リーチ時、
中デジと右デジの動きに、幾つかの特徴があった。
本機は、中デジが停止する際、(1)左⇒中とスムーズにデジタルが止まる場合と、
(2)左停止後、中デジが超スローで数コマ進んで停止する場合があった。
(1)はハズレ、リーチどちらでも出現するが、(2)のパターンは必ずリーチになる。
(1)よりも(2)のリーチの方が大当りし易く思えたが、内部的には、当否に拘らず、
リーチ時は(1)か(2)を「1/2」で振り分けるだけなので、リーチ信頼度は同じ。
一方、リーチ時の「右デジタル」の動きに着目すると、
(1)通常(スローよりやや早めに)スクロール
(2)リーチ後、即「超スロー」に切り替わる
(3)通常スクロールで5,6コマ進んだ後、超スローに切り替わる、
の計3パターンがあった。
(1)がノーマルリーチ、(2)(3)がSPリーチ(スローリーチ)といえよう。
コチラは、中デジのスローアクションと違って、(2)(3)なら大当り期待度もアップ。
但し、本機は、大当り時の5/8(62.5%)で(2)(3)の「SPリーチ(スロー)」を、
残る3/8(37.5%)で(1)のノーマルを選択する仕様だったので、ノーマルでも
普通に大当りした。「捨てリーチ」が無いから、遊技上のストレスも少なかった。
因みに、天下には「丸い飾りランプ」があって、ノーマルリーチ時は点滅するが、
SPリーチ(スロー)だと「点灯」する。右が超スローになるタイミングは2パターン
あったから、飾りランプが点灯する瞬間も、何気にアツかった。
※余談
’93年10月、私はテレビ東京主催の「TVチャンピオン・第4回
全国パチンコ王選手権」の予選に出場する機会があった。
会場は高田馬場「ダイナム」(閉店)。開店前、早朝の時間を利用した、
持ち玉1000発の出玉勝負。参加者は、私を含めて100名ほど。
この時、私が最初に打ったのが、何を隠そう「プリンセス物語」だった。
しかも、序盤で、例のアツい「スローリーチ」が来て、「貰った」と思ったが、
あえなくハズレ。ただ、釘はまあまあだったから、そのまま打てばいいものを、
「SPリーチが外れたからハマるかも。それに、今日はプリンセスと相性が悪い」と
「オカルト」で勝手に判断して、持ち玉がまだ多く残った状態で、最初のプリンセスを
あっさり捨ててしまった。その後、ただ「好きだった」からとの理由で、ちょっと古めで
置いてあった京楽「居酒屋2」に移動したが、全く不調で見せ場も無いまま、貰った
1000発はあっさり尽きてしまった。そのまま、トボトボと会場を後にしたが、後日、
テレビで大会を見たら、なんと、予選トップが、プリンセスで連チャンさせていた。
あのままプリンセスを打ち続けていたら、自分にもチャンスがあったかも…と
思ったが、「後悔、先に立たず」である。そんな私は、玉が尽きガックリ肩を落とし、
トボトボ退店する「後姿」が映っていた。あまり嬉しくない「TV初出演」である。
(余談、終わり)
最後に、本機の大当り画面について少々。
大当り画面は、あたかも「ロールプレイングゲーム」(RPG)を思わせるものだった。
大当りラウンドが進むごとに、主人公の「キララ」(女の子)も色々な場面に
出くわして、話が先へ先へと進んでいく。
特に面白いのは、いわゆる「マルチストーリー(エンディング)システム」を
採用していたこと。
出だしは、「キララが王家の紋章を探しに行く」と共通なのだが、途中のラウンドで
ストーリーの「分岐」が幾つもあって(宮殿に行ったり、洞窟に入ったり、アイテムを
見つけたり)、どう通ってラストに至るかは、大当りを消化してみないと判らない。
エンディング画面も、全部で「3つ」用意されていた。主人公のキララが、
「花の妖精になる」「お姫様に成長する」「王子様と結婚」という、異なる結末。
途中でどの分岐を通っても、上記3つの中からランダムにエンディングを選択。
なので、冒頭で「王家の紋章」を探しに行くと言って出かけたキララが、
実際に紋章を見つけたにも拘らず、そのまま「花の妖精」になったりする。
妖精になってしまえば、王家や紋章など、一切関係なくなってしまうというのに…。
そもそも、「姫」になるべき若い女性が、「妖精」に姿を変えてしまうのは、本当に
「ハッピーエンド」といえるのだろうか…?
また、大当り図柄であり、大当り中も出てくる「王子様」の存在も、気にかかる。
確かに、イケている雰囲気を醸し出してはいるが、この王子様、顔の上半分が
前髪に隠れて表情を読めない為、妙に「不気味」なのだ。
その後、王子と結婚したキララが、彼の髪を掻き上げて、顔をまじまじと見たら
実は恐ろしい「一つ目の妖怪」で、キララは恐怖の余り死んでしまった…という
恐怖の展開が待っているとしたら、彼女が可哀想に思えてくる(不謹慎か?)。
エンディング1⇒キララが花の妖精になる。
最後は「夢…忘れずに」のメッセージが出る。
エンディング2⇒キララが成長して、美しいお姫様に。
ラストのメッセージは「幸福…永遠に」
エンディング3⇒キララは、とうとう王子様と結ばれる。
この時のメッセージは「愛…永遠に」
※当時、「大当り中のストーリー展開(分岐)次第で、連チャンするか判るのでは?」
との噂が一部で流れたが、プログラム上の根拠は無く、単なるガセネタである。
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プリンセス物語(平和、デジパチ)
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