1998年(平成10年)に京楽から登場した現金機デジパチ「柔キッズ3」
(やわらきっず3)
(次回までの時短が確定する、「七・七・七」揃い)
「柔道」がモチーフの、時短デジパチ。主人公は柔道少女「柔ちゃん」。
「柔」(やわら)といえば、古くは昭和の歌姫、美空ひばりの曲で有名。
「勝つと思うな、思えば負けよ~」の、アレ。
ただ、私の世代だと、浦沢直樹の漫画「YAWARA!」の方が、馴染み深い。
可愛くて柔道も強い、猪熊柔(いのくまやわら)が主人公。後に、アイドル
浅香唯の主演で実写映画となり、テレビアニメも人気を博した。
思い返せば、中学、高校時分、私は通学時、駅の売店で「ビッグコミックスピリッツ」を
毎週買って、当時連載中だった「YAWARA」を読むのが、車内でのお楽しみだった。
他にも、、相原コージ「コージ苑」、雁屋哲「美味しんぼ」、柴門ふみ「東京ラブストーリー」
などを愛読。高3の受験期は、電車の往復時間を全て受験勉強に充てた為、
この習慣はいったん途切れたが、大学入学後に再開。吉田戦車の「伝染るんです」、
中川いさみ「クマのプー太郎」など、香ばしい作品は他にも山ほどあった。
スマホ全盛の今とは違って、アナログ全開だった当時、このテの漫画雑誌は、
車内の「マストアイテム」に他ならなかった。
一方、実際の柔道界でも、当時、女子柔道の若きエース、田村亮子(現・谷亮子)が
世界大会3連覇など無類の強さを誇り、メディアにも大きく取り上げられ、まさに
「国民的アイドル」として君臨。その彼女も、上記漫画の主人公の名前に因んで、
「柔ちゃん」の愛称で呼ばれていた。
(政界入り後の行動には、若干の「違和感」を覚えるが…)
まぁ、それはさておき。
当時のパチの流れを見ると、1996年の「イエローキャンペーン」の流れを汲んで、
爆裂CR機がもたらす出玉の「インフレ化」に歯止めをかけようと、確変継続回数に
「5回リミッター」の規制が設けられた(新基準CR機)。
まぁ、この動きを肯定するか、否定するかは、人それぞれだろう。
個人的には、元々、爆裂CR機があまり好みでなく、台間玉貸機に小銭を入れて
マッタリ勝負したい「現金機派」だったから、CRにリミッターがあろうが無かろうが、
あまり気にならなかった。むしろ、「1/400」のような低確率台が減って、CR機の
敷居が下がった分、自分にとっては「好都合」な規制だったと思っている。
但し、数々の現金機の「名機」を、不当な理由で葬った「社会的不適合機」の
レッテル貼りには、全く同意できない。「天下の愚策」と、声を大にして言いたい。
さて、当時の私は、パチよりスロに傾倒していたが(ユニバ系の技術介入機メイン)、
ときおり、無性にパチの現金機が打ちたくなる「発作」も出ていた。同時期には、
本機をはじめ、同じ京楽の
「華観月2」(本機の先輩格)や「めぐみ工務店FX2」(後続機)、
西陣「花満伝説SVZ」、まさむら「マジカルチェイサー3」、
三共「フィーバーデーモンGP」「フィーバーメガクイーンEX」
「フィーバーピストル大名GP」、大同「フィーバー安全運ちゃんDSP」
「フィーバーサルカニチャンスDGP」、マルホン「レッツおとぎ村S」「セクシーショットS」、
大一「ウルトラマンTX」、豊丸「ブリバリ原始人E」、サミー「UFOキャッチャーFX」
などの「時短機」が好みだった。
まぁ、「スロに傾倒」といいつつ、パチへの愛着も、まだ相当なものがあった。
(2000年以降、パチ熱は一気に冷めて、さらにスロへシフト)
大半は、リミッター付きCRの現金機Verだったが、大当り確率が良心的な割に、
展開次第で4箱、5箱…と積み上げる※ことも出来たから、懐が寂しい時も勝負になった。
必然的に、CR一辺倒のホールは敬遠しがちで、現金機(時短機)の多い店によく通った。
※店によっては「ドル箱規制」で、4箱目以降をジェットカウンターに流す。
また、このテの時短機は、止め打ちなどの「小技」が効くことが多かった為、
時短中に玉が減っても意に介さない、オッサン・オバサンと差をつけるには、
格好の狙い目となった。本機の止め打ちも、実際かなりの効果があった(⇒後述)。
今や、「完全引退」の身ではあるが、この当時のパチに対する「熱」を思い出すと、
自然とウズウズしてしまったりする。だからといって、復帰する事は無いだろう…。
では、遅ればせながら、本機のスペックを説明。
(基本スペック)
★賞球…5&13(当時、現金機デジパチは、ヘソ6個(7個)戻しが主流。5個は少ない)
★大当り確率…1/228.5
★デジタル停止順…基本的に「左⇒右⇒中」
★大当り図柄…一~九(漢数字)、柔道着、「忍耐」、優勝カップ (計12種類)
★最高16ラウンド継続(アタッカー9カウント)
★出玉…約1800個(13個戻し、9カウントの為)
★時短機能搭載
大当り後は、図柄に拘らず、100%時短に突入。
但し、大当り図柄によって、時短回数が異なる。
・三、五、七(突入率1/4)…次回まで時短
・一、九(突入率1/6)…100回時短
・その他の図柄(突入率7/12)…30回時短
★時短連チャン率
次回⇒100% 100回⇒35.5% 30回⇒12.3%
(全図柄平均の時短連チャン率は、約38%)
★予告機能について
デジタル変動後、デジタルに何らかの「変化」が起こるとチャンス。
「柔ちゃんフラッシュ+右スベリ」など、予告の複合で、さらに信頼度アップ。
・予告なし(一番多い)
・右スベリ
⇒左デジ停止後、右デジタルが停止する前に、通常よりも大きくスベる。
⇒但し、リーチ確定アクションではなく、ガセスベリ(只のハズレ)もあり。
⇒単発スベリはガセ多し。連続右スベリからのリーチは、信頼度大幅アップ。
・柔ちゃん通過
⇒デジタル変動中、柔ちゃんが、画面右から左へダッシュで横切る。
⇒約40%の確率でリーチが掛かるが、6割は単なるハズレ。
⇒非リーチでハズれる時は、右スベリを伴う。
(柔ちゃん通過予告)
・柔ちゃん通過+フラッシュ
⇒デジタル変動中、柔ちゃんが画面を横切り、背景フラッシュ+BGM変化。
⇒SPリーチ確定アクション。
★リーチアクションについて
ノーマルの他、SPリーチ6種類の、計7パターン。
・ノーマル
⇒左右テンパイ後、中デジが普通にスクロール。ほぼ当らない。
・ロング
⇒ノーマルから発展。ノーマル2周後、効果音が変化。そのままスクロールが
進み、大当り手前3コマでスローに切り替わる。大当りかその前後で止まるが、
大概ハズれてしまう。但し、中デジが1コマズレで停止後、「再始動アクション」が
発生すれば、必ず大当りする。
・三・三・七拍子
⇒左「タン・タン・タン」⇒右「タン・タン・タン」のリズムでテンパイした後、
中デジが「タン・タン・タン・タン・タン・タン・タン」のリズムで進んで停止。
そのままだと信頼度は低いが、「押さえ込みリーチ」に発展する可能性アリ。
・押さえ込み
⇒三・三・七拍子がプラス1コマでハズれた後、画面に柔ちゃん登場。中デジを
押さえ込もうとする(下に落ちる図柄を押し戻す)。この時、デジタル上に「30」と
タイマーが出て、カウントダウン開始。中デジが進むにつれ、「効果」「有効」「技有」と
表示も変わっていく。最終的に、タイマーが「00」になるまで図柄を押さえ込めば、
「一本」の表示が出て大当り。
信頼度100%のリーチ(全回転、コギャル、ロング二段階)を除き、もっとも高信頼度。
(押さえ込みリーチ)
・背負い投げ
⇒ノーマルから発展。ノーマルで1周進んだ後、中デジに柔ちゃんが登場。
中デジ図柄を順番に投げ飛ばす。大当り1コマ手前の図柄を投げれば、
大当たり確定。アツそうな動きだが、信頼度は意外と低い。ほとんどは、投げに
失敗して「女座り」の態勢になり、目を丸くして泣く、柔ちゃんの姿で終わる。
(背負い投げリーチ)
・コギャル
⇒背負い投げとほぼ同じだが、柔ちゃんが柔道着ではなく、
ミニスカ、ルーズソックスの「コギャル制服ファッション」で登場。
コチラは100%大当り確定の、嬉しいプレミアリーチ。
・全回転
⇒ノーマルから発展。リーチ後、中デジが1周+6コマ進み、左右デジタルが
中デジを追いかけるように、シンクロ状態で再始動。そのまま、全デジタルが
揃った状態で回転。コチラも、必ず大当りする。
※時短中は、一部リーチが省略されて、「三三七拍子」か、そこから発展する
「押さえ込み」のみ出現(CR版だと、確変中は「全回転」のみ)。
★大当り時の「再始動アクション」
全回転を除き、図柄がいったん揃った後、必ず全図柄の「再始動」が起こる。
但し、再始動は、同一図柄か時短回数の「格上げ」のみで、100回時短が
再始動で30回時短に格下げされたりはしない。
★時短中の「止め打ち」について
本機は、小デジタル当選率が、通常時、時短中共に、「8/11」と高確率である。
但し、通常時は、小デジ変動時間が約29秒と長く、電チュー開放も0.15秒
(or3カウント)と短い。
一方、時短中は変動時間が6.3秒と大幅短縮されて、電チュー開放も5.8秒
(or3カウント)に延長される為、電チューが俄然、玉を拾い易くなる。
上記スペックの為、時短中は、クギがまともなら、普通に打っても玉減りしない。
但し、電チュー開放に合わせて打ち出せば、無駄玉節約となり、ハマるほどに
持ち玉も増えていく。時短中も、メイン確率は通常(1/228.5)のままなので、
ヒキ次第で大ハマリもあるから、止打ちの威力は大きかった。
また、ヘソやスルーがシブくても、玉減りを最小限に防いだ。無論、これらの釘は
甘いほど有利となる。
時短中の止め打ち手順は、以下の(1)~(4)を繰り返すだけ。非常にシンプル。
(1)デジタル脇の「GO」チャッカー(小デジ用スルー)通過で、打ち出し停止。
(2)天下の小デジ始動後、盤面上の枠ランプが「8回」点滅するのを待つ。
(3)8回点滅後に打ち出し再開。電チューが3個以上拾ったら、打ち出し停止。
(4)(2)に戻る。小デジの保留が無い場合は(1)に戻る。
★CR版の兄弟機について
・CR柔キッズ(1998年登場)
大当り確率1/336.5 出玉2100個。
確変突入率は1/2だが、最高5回の確変リミッター付き。
・CR柔キッズDX(1998年)
大当り確率1/296 出玉2100個
確変突入率は1/2。コチラは確率が甘い分、確変リミッターの上限が「3回」と少ない。
(余談)
当時、日本テレビの土曜深夜バラエティ「DAISUKI」の
名物「パチンコ対決」で、本機が登場した事がある。
・放映日は、1998年(平成10年)10月24日(土)。
・レギュラーは、中山秀征、松本明子、飯島直子。
・ゲストは、当時「トゥナイト2」や「スーパー競馬」などで人気のタレント、斉藤陽子。
・ロケ地は、足立区・谷在家のパチンコ店「パラティ」(閉店)
・勝負機種は
1回戦…「CRポンポコリンたろうFL」(藤商事)
2回戦…「柔キッズ3」(京楽)
3回戦…「ウルトラマンTX」(大一)
・本機は第2回戦で登場。女性陣がヒキ悪な中、中山秀征が見事に大当り。
「柔ちゃん予告」から「九」のリーチ、ロング発展⇒1コマ先で一旦外れた後、
中デジ二段階で大当り。再始動で、次回時短の「七」に昇格する、ヒキ強ぶり。
・この時、ヒデちゃんの上皿に玉がほとんど残っておらず、何とか3発打ったが、
アタッカー開放前だった為、全てアウト穴にIN。焦ったヒデちゃん、「玉、玉!」と、
隣の斉藤陽子の上皿から、慌てて玉を掴みとる。斉藤は好意的に玉を渡すも、
それを見ていた松本さん、「ヒデちゃん~それはダメ!斉藤さんの玉!」とツッコミ。
大当り中のヒデちゃんの玉を、次から次へと掴み取り、斉藤の上皿に戻していく。
結局、ヒデちゃんは、借りた玉の10倍以上の玉を、斉藤に返すハメに…。
・話は、これで終わらない。女性陣全員が持ち玉を使い果たし、「次回まで時短」を
ゲットした中山の台を見ていたが、次第に飽きてしまう。そこで、店側の好意により、
食事休憩中、固定ハンドルにしたまま、ハンディカムを無人の台の前に置いて、
回りっぱなしのデジタルを撮影しておく事に。そのまま、4名はパチ屋と同じ建物に
入っているレストラン「リストランテ・ノビルメンテ」でパスタなどを堪能。その食事中、
画面右下のワイプでは、ヒデちゃんの台のデジタルの様子が、ずっとモニターされた
ままになっていた(ダイスキ・パチンコ対決史上、初の試み)。
結局、しばらく回して、優勝カップの「三三七拍子リーチ」が「押さえ込み」に発展、
見事に大当り。30回時短での連チャンは無かったが、二度の大当りで3690個。
第1回戦でもしっかり当てた中山が、引き続いて好調をアピールした。
(余談、終わり)