1996年(平成8年)に大一から登場した権利物「CR花のもぐら組V」
★賞球…6&10&15(アタッカー15個戻し。ヘソはスルーなので玉持ちは悪い)
★大当り確率(3段階設定あり)
・設定1・・・1/257(確変中は1/25.7)
・設定2・・・1/277(確変中は1/27.7)
・設定3・・・1/307(確変中は1/30.7)
★図柄
・左右=0~7の数字(ブランク図柄は★)
・中=0~7の数字(ブランク図柄は★、$、¥)
★有効ライン…「右下がり/右上がり」の2ライン(クロスラインのみ)
★大当り…0~7の三つ揃い(8通り)⇒2ラインで計16通り
★継続ラウンド数…16R
★出玉…約2200個(但し、メインアタッカー周りの釘次第では、2000個を切る)
★確変機能を搭載
・全8図柄中、「1、3、5、7」(赤文字、奇数)で大当りすると、次回までの確変に突入
・突入率&継続率…1/2(ループ有り)
★保留3個以上点灯時、メインデジタルの回転短縮機能(時短機能)が働く(約2秒短縮)
パチンコで「モグラ」というと、真っ先に本機を思い出す。因みに、パチスロでは「スーパーモグモグ2」(ECJ、4号機)や「モグモグ風林火山」(NET、4号機)などが有名だ。
’90年代登場のパチンコをザッと振り返っても、「モグラ」がモチーフの台というのは割と珍しい(’70年代の大昔に、平和から「もぐら叩き」という台が出ている)。なお、2003年に奥村の「モグラもの」デジパチ「CRモグッテお宝」シリーズが登場したが、個人的な思い入れはない…。
但し、90年代のデジパチで、リーチアクションにモグラが登場するのは、探せば結構ある筈だ。前にも書いたが、1995年に出た大一の先行機「ちんじゃら」(現金機デジパチ)や「CRちんじゃらV」(確変1/3の2回ループ)には、「モグラクルーンリーチ」というSPリーチ演出があり、クルーン奥のハズレ穴に玉が落ちそうな時に、モグラがピョコっとハズレ穴から顔を出して、玉を弾いて手前の大当り穴に導く、アツい「逆転」パターンがウリだった(但し、ハズレ⇒ハズレもあり)。
また、やはり大一のデジパチ「CRいれてなんぼWIN2」(1998年、兄弟機多数)では、デジタル画面にヘルメット姿のモグラ(モグ蔵)が登場して、いったん停止した中デジを再始動させたり(これで当れば確変が確定)、バンカーからモグ蔵がひょっこり顔を出したり、といった演出があった。こうして考えると、90年代の大一はモグラと縁が深い。
さて、本機のメインキャラは、黄色い「安全ヘルメット」をかぶった愛嬌タップリなモグラだ。
機種名「花のもぐら組」は、「穴掘り・掘削が得意な、モグラの土木工事会社」といったところか。
因みに、大一の「ヘルメット」ものといえば、1990年に「安全大一」という旧要件ハネモノも出ている。
(大一のハネモノ「安全大一」…ヤクモノ内には工事現場のオッサン風キャラが佇む)
普段はサングラス姿のシブいモグラだが、実は少女漫画チックな「つぶらな瞳」だったりもする。
(このグラサンを取った表情に、すっかりやられたファンも多かった…かも?ウルウルな涙目のモグラは、大当り終了時にも登場。)
なお、本機の「ヘルメットモグラ」は、後に現金機の時短デジパチ「バトルヒーローネオ」(1998年)の「30回時短図柄」に採用されている(同時期登場のCR版(SR、FX、リターンズ、英雄列伝)や、現金機「バトルヒーローブラザーズ」では通常図柄に採用)。
名機「CRバトルヒーローV」の後継機の1つ「バトルヒーローネオ」。画像は「気まぐれデビルリーチ」。コイツは天使(愛のエンジェルリーチ)と違って、期待させる割によく外れやがったな…グサッ。
(ゲーム性)
・ヘソの始動チャッカー(スルー)通過で、メインデジタル始動。
ヘソ左下にスルーの出口(OUT)があり、真下に賞球チャッカーがある。ここの釘調整次第で玉持ちが大きく変わったが、OUT穴の下をガッツリとシメる(上下の二本釘の位置が露骨にズレていて、チャッカーに入賞しづらい)店も多かった。
・デジタル3つ揃いで、下段中央の権利アタッカーが約5.5秒開放。アタッカーのVゾーン入賞で権利発生となる。
ゲーム性を知らずに、デジタル当選⇒即右打ちで無残に「パンク」させる初心者もいた(アタッカー上部の釘が多く、普通に打ってもパンクする事あり)。かつて、斉木しげる名人がMCを務めた深夜のパチンコ番組「パチンコスタジアム」(テレビ東京)でも、ゲストのなぎら健壱(作業服&タオル鉢巻き姿の「職人ファッション」で登場)が本機をパンクさせて、斉木名人からドヤされるという「迷場面」があった筈だ。
・権利発生後は右打ち。右下の回転体とメインアタッカー(電チュー)の連動で、出玉を増やす。
(回転体は盤面右下にあり、真下に電チュー式アタッカーという構造)
・16ラウンド継続(アタッカー開放時間…9.3秒)で出玉は約2200発だが、アタッカー上部の釘次第では、2000発程度(以下)の出玉になるケースも。
・デジタルが「1、3、5、7」で当った場合、確変突入でデジタル確率が10倍アップ。1/2ループで、ヒキさえ強ければ一気の箱積みも可能なスペックだった。但し、ヘソの戻しが期待できない場合も多く、確変時にハマると大きく玉減りした。
(リーチアクション)
デジタル停止順は左⇒右⇒中。配列上、必ずリーチは「対角線」(クロス)で掛かる。シングルリーチとダブルリーチがあり、ダブルリーチは必ず確変図柄を含む。
リーチは「ノーマル」のほか、「噴水」「夕焼け」のSP2パターンが存在。但し、ノーマルのままでは絶対当たらないので、スーパー発展時のみチャンス。
・噴水…中デジタルが噴水の勢いで次々と持ち上がる。右デジの「スベリ」(⇒後述)発生時は、左右テンパイ後、中デジが4コマ進んで発展。スベリがない場合、テンパイ後20コマ目に発展。
・夕焼け…左右テンパイ後、いきなり画面がオレンジ(夕方)に染まり、中デジがゆっくり上方スクロール。こちらは、右デジのスベリ時に発生する事はない。
★右デジタルの「スベリ」
かの「CRバトルヒーローV」でもお馴染みだった、大一お得意の「右スベリ」は本機でも健在。
本機の場合、右デジタルは「4~8コマ」とランダムにスベる。但し、「7コマ」スベった時は100%リーチが掛かり、必ず「噴水リーチ」に発展(但し、大当り確定ではない)。
(噴水リーチ…大当りの瞬間、モグラはサングラスをしていない。)
(夕焼けリーチ…コチラは大当りの瞬間も、モグラはサングラスをしたまま。)
個人的には、新宿、渋谷、高田馬場、下北沢、溝の口と、都内・神奈川のあちこちで本機を実戦した事を思い出す。当時は、三洋のCR権利物「CRギンギラパラダイス」が大人気で、このテの「1/2ループ・次回継続型」はウケが良かった。本機も、導入当初はよく姿をみかけたし、フラッと寄ったホールにたまたま置いてあったりもした。そういや、せっかく3、4回数珠繋ぎ連チャンしたのに、全部「単発図柄」という哀しい事もあったな。展開次第では、とても「確変突入率1/2」とは思えなかった…。
比較的導入率は高かった本機だが、その後も長らく設置され続けたかといえば、残存率の高かったギンパラと違い、早い段階で入れ替えるホールも少なくなかった。やはり、ギンパラの「二番煎じ」的なイメージもあり、「主力機種」とまではいかなかった感じだ。個人的には、シンプルでいてアツいリーチや爆発力など、なかなか良くできていたと思うが…。
そんな中、自分の通ったエリアでは、南武線・武蔵溝ノ口駅(東急・溝の口駅)近くの「日拓エスパス溝の口本店」が、2000年を超えてもなお、本機を設置していた。この店には、地下フロアの沖スロ4号機「シオサイ30」目当てで通っていたが、ふとパチりたくなった時など、話題のCR新機種には目もくれず、シマの隅にあった本機やCRギンパラ、それに「CRニューロードスターV」(三洋、三つ揃いで16R、中図柄が「A」で1R)といった「’90年代のCR権利物」をよく打った。その後、沖スロのシマは「ハイハイシオサイ30」「ハナハナ30」「島唄30」「シオラー30」と充実したが、いつの間にか本機の方は姿を消していた。また、やはり日拓系だが、井の頭線・渋谷駅ガード脇の「エスパス日拓3」も、長らく本機を設置。
(溝の口の日拓に通っていた頃のロボカード)
そういえば、故・田山幸憲プロの「パチプロ日記」にも、CR花のもぐら組Vが登場したことがある。東京・桜新町の「H店」(パチーノヒノ)時代、地下フロア(CR機シマ)に新台導入されてからだ。日記では、旧台の「CRフィーバー彩」と「CRフィーバービーチ」(いずれも三共)の一部を外し、本機が7台入ったものの、入替から10日以上が経っても、もぐら組のシマだけに「正午開店」の貼り紙があって、そんなのオレは打たないと言っていた(通常営業になってからは打つ事もあった)。その少し前に、H店は豊丸の名機「ナナシー」(現金機)を導入、田山プロの戦況を改善する契機となったが、末期にはどのシマも釘がガチガチと化し、やむなく青葉台「B店」(ビッグスペース青葉台)に「ネグラ替え」を行った。これらは、全て1997年(平成9年)の話である。