約16年前のスロ4号機時代、妙にツボにハマって気に入っていた台がある。
エレコの「イーカップ」という台がそれだ。
(エレコ「イーカップ」 2000年登場、A-STタイプ」)
ボーナス確率と払い出しは、以下の通り。
(ボーナス確率)
※REGは非搭載
(各役の払い出し)
赤7×3/黒7×3/白7×3…15枚+Big Bonus
バナナ×3…15枚
チェリー…1枚(角2枚)
キウイ×3…1枚
池×3…リプレイ(1枚+ジャックイン)
バナナ・リプレイ・リプレイ…ジャック中15枚
※バナナと2枚チェリーは共通フラグ
※キウイと1枚チェリーは共通フラグ
「ゴルフ」がモチーフの本機。初めて見た時は、エッジが利いて斜に
構えた感じのする7図柄(赤、白、黒)のデザインが、同社の先行機
「エヌジェーCT」(コチラのビッグは赤7と白7)を彷彿とさせるな…
くらいの軽い印象だった。だが、実戦経験を重ねるにつれて、徐々に
その独特な「味わい深さ」に気付かされる事になる。
本機はNJCTやデルソル2同様、エレコ(アルゼ系)得意の「鉢巻きリール」
(4thリール)搭載。但し、CT機ではなく、「ST」(スーパータイム)という
新機能(ストック・タイムではない)が大きなウリだった。言ってしまえば、
「AT」(押し順ナビのあるアシストタイム)の一態様だが、当時の一般的な
ATとは、少々趣が違っていた。その理由は、ST突入がビッグ終了後ではなく、
通常プレイ中にいきなり入ったから。ATにせよCTにせよRTにせよ、あの頃は
「ビッグ後のお楽しみ」というのが主流だったので、「通常時、常にST突入の
チャンスあり」という点が、斬新で興味を引いたのだった。
そのSTについて説明すると、通常時のメイン小役は「角チェリー」(2枚)と
「バナナ」(15枚)の2種類あり、両者は「共通フラグ」となっていた。但し、
バナナの15枚で取るには、「第一停止リールの押し順」を当てる必要がある。
普段、特にナビはなく「左or中or右」の三択となり、押し順を当てれば15枚、
ハズすと2枚で払い出す制御だった(第1さえ当たれば、残りをどう押しても
揃う)。普段は勘でしか三択は当らないが、ST中なら2枚/15枚フラグ成立で
「押し順ナビ」が働き、必ず15枚で取れた。即ち、ST突入後はコイン持ちが
アップして、投資を極力抑えてビッグに繋げたのだ(STが途中パンクしない
限り)。但し、ST消化中にコインが飛躍的に増えた訳ではなく、せいぜい
現状維持か微増程度(瞬間的に15枚が多く揃い、出玉が増える事はあっても)。
ヒキ弱だとST中でもコインが減って、追加投資のパターンさえ普通にあった。
ただ、ST中に引いたビッグは全て「スーパービッグ」(⇒後述)となるから、
獲得枚数の上乗せが見込めた。コイン持ちアップの面と合わせて、突入すれば
有難い機能に違いなかった。というか、STのヒキが悪いとほぼ勝てなかった。
なお、15枚の押し順ナビは、3分割した赤いトップランプで表示。左が光れば
左リール、中が光れば中リール、右が光ったら右リールを最初に押せばOKだ。
また、リール自体もライトアップされる為、押し順は容易に分かる。さらに、
レバーオン時は、鳥の鳴き声+人工音声で押し順をナビ(鳥が「ピヨ」と1回
鳴いて人工音声が「ワン」と言ったら左リール、「ピヨピヨ」と二回鳴いて
「ツー」の声なら中リール、3回鳴いて「スリー」なら右リールから押す)。
また、上記法則の崩れはビッグ確定。ST中にトップランプ非点滅で15枚揃い、
左のランプが光ったが鳥が3回鳴いて人工音声が「スリー」(ランプと音声の
矛盾)、ナビ通りに打ったのに2枚チェリー揃い(これも矛盾)、15枚時に
トップランプが全点灯、といった変則パターンは、何れも鉄板。
STは、設定関係なく通常「1/100」で抽選していて、当選するとレバーオンで
ガシャンと言う効果音と共に、リール窓左の「SUPER TIME」ランプが点滅。
但し、このST(仮)には大きな「関門」が待ち構えており、ST当選の次プレイで
必ず「1/2のパンク(継続)抽選」を通る。ここで弾かれると、その次プレイの
レバーオン時にSTランプは即・消灯。即ち、実質的なST抽選確率は「1/200」
となっていた訳だ。この50%さえクリアすれば、STランプは引き続いて点滅。
後は、毎ゲーム「1/100」で抽選されるパンクフラグに当たらない限り、STは
継続する。ヒキさえ良ければロングSTが期待できた一方で、1/2をクリアした
たった数プレイ後に、STランプが消えてしまってガックリ来ることも…。
さらに、STの存在は、ビッグ時の出玉にも大きな影響を与えた。本機のビッグは、
ノーマルビッグとスーパービッグの2種類。ノーマルは特典無しだが、スーパーは
2枚/15枚成立時に押し順を完全ナビ。正確には、通常時に引いたSTがビッグ中も
パンクしないので、引き続きナビが働いた(スーパービッグ終了後、STはパンク)。
即ち、ST中のビッグは3択の無いスーパービッグとなり、獲得枚数が大幅にアップ。
ノーマルは平均約375枚だが、スーパーなら平均560枚。そのスーパーが立て続けに
来れば、まさにウハウハだった。好調時なら、スーパー終了後サクッとSTに入って、
1/2の抽選も易々とクリア。そのST中に早いビッグを引いて、実質的なスーパーの
連チャンとも言える展開で、下皿もドル箱もガッツリ満タンになった。
ただ、こうしたゲーム性が意味したのは、「ヒキと展開」に極度に左右され易い
台だったという事である。終日のビッグ回数が同じでも、スーパーの回数によって
出玉は大きく変動。また、1/100のST(仮)を多く引いても、次プレイで1/2の
ヒキが悪いと、トータルのSTゲーム数もガクンと落ちて、スーパー獲得の機会は
当然に減る。ビッグ出現率で「高設定」と察知してプレイを続けても、STのヒキ、
展開に恵まれないで、コインがサッパリ増えずにジリジリする事も多かったのだ。
まぁ、これはデルソル2やアステカなどのCT機にも、同様に当てはまったが…。
次に演出面だが、こちらもアルゼ系の十八番だった筐体上の「鉢巻きリール」
(4thリール)が多彩な動きを見せて、単調になりがちな通常時を盛り上げた。
「ゴルフコース(エレコ・カントリークラブ)」を表現した鉢巻きリールは
「ゴルフリール」と呼ばれ、様々なキャラが登場。小役告知やチャンス演出
等の役割を担った。基本的には、主役のゴルファーがティーショットを行い、
コース上の障害をクリアしてカップインすれば、ボーナス確定となる。なお、
ボールそのものは、4thのプラスチックカバーの中心に描かれたイラストで
「固定式」だったが、奥の4thリールに描かれた背景表示が横に回転すると、
手前の(動かない)ボールの方が動いて見える仕組み。
以下、ゴルフリール(以下、適宜「4th」と略す)の演出について概説する。
レバーオンで4thが作動すると、主役のゴルファーがティーグラウンドに
立って、4th演出を開始。このゴルファーをメーカーは「トラキ」と命名。
なぜ「トラキ」かは、当時の時代背景などを考えれば、容易に想像がつく。
あの時代、「天才プロゴルファー」と世界中から称賛されていた選手こそ、
かの「タイガー・ウッズ」である(その後、別の面でも話題になったが…)。
これを日本式に読み替えれば、「虎」「樹」(ウッズには「森」の意味も
あるが)。つまり、「とら・き=トラキ」となる訳だ。別にウラを取った
訳ではないが、普通に考えれば、ネーミングの由来はこんな感じだろう。
因みに、トラキにはキャディの「ジェニファー」という女性がついて
いた。ティーショット後、ジェニファーが4thに出ると、ボーナスの
期待度もアップ。この時、ジェニファーはトラキのショットに対して
様々な声援を送る。ボーナス期待度の低い順に「ナイスショット!」
「スーパーショット!」「ミラクルショット!」。スーパーショットは
1枚役orビッグ濃厚。ミラクルショットと叫べば、さらに激アツとなる。
トラキのティーショットには5種類あって、その打球によってボーナス
期待度が変化。一番期待できない「チョロ」は、ほとんど距離が出ない。
次が「ノーマル」で、普通に球が飛ぶ。3番目の「エクスプロージョン」は、
ショット時に4th両脇のLEDがクルクル回る。また「スーパーフレイム」は、
トラキが「オリャー!」と気合を込めてショット。最も期待できる打球が
「スーパードライブ」。第1⇒第2⇒第3とリールを止める度に、4thリールが
「HOLE-IN-ONE」の位置に接近していく(「HOLE-IN-ONE」最終停止で
ボーナス確定)。なお、4thに「爆発マーク(打球加速)」が一瞬止まると、
小役以上確定となり、ボーナス期待度もアップ。
ティーショット後、4thはコース上の様々な地点で停止する。止まる位置は、
「木」「池」「バンカー」「池」「大木」「グリーン」で、直接カップイン
する場合もある(ビッグ確定)。「木、池、バンカー、池」の3つは小役対応。
一旦停止後に再始動しなければ、対応役ハズレでビッグとなる※。対応役は、
「木=チェリー2枚/バナナ15枚(共通フラグ)」、「池=ハズレ含む全小役」、
「バンカー=中段チェリー/キウイ(1枚役、共通フラグ)」。また、各地点で
愛嬌ある「動物キャラ」が待ち構える。木の上に「バブルス」(サル=ジェニファーの
ペット)、バンカーは「きゅうちゃん」(キウイ=動物。小役の「キウイ(フルーツ)」に
かけた)、池の上に「クロくん」(カラス)。これらのキャラが鳴き声を上げると、ビッグ
期待度アップ(バブルス=ウキキッ、きゅうちゃん=キュイ、クロくん=カァー)。一方、
4thが一旦停止後に再始動した場合、OB(大木)かグリーンで最終停止。OBはハズレだが、
OBと一旦停止地点を往復して、最終的にグリーンで止まるパターンもある。一方、打球が
グリーンに乗った場合は、後述するバーディーチャンスへと発展する可能性が高い。
※キウイ成立時、チェリー付き白7を中段に狙うと、キウイを枠内に引き込まずに
小役演出がガセる事もある。この付近はNGポイントとして避けるべき。
4thがグリーンに届くと、小役が揃っている場合を除き、「バーディーチャンス」
と呼ばれるチャンス演出に発展(リール右の「BIRDIE CHANCE」ランプ点滅。
「ナイスオン」の音声もアリ)。次プレイでパッティング演出に移行。最終的に
パットが成功してカップインすればビッグ確定。パット失敗ならハズレ。
次に、ビッグ中について説明。ノーマルビッグ中はナビが一切無く、メイン小役の
チェリー(2枚)/バナナ(15枚)成立時(4th非作動)は、勘を頼りに第一停止の
押し順3択に挑む。振り分けは、左=86/256、中と右は各85/256と、僅かに左の
選択率が高いが、ほぼ同値。つまり、順押し適当打ちで問題ないが、3択を楽しみ
枚数アップも目指すなら、毎ゲーム押し順を選ぶのもアリ。一方、4thが回ったら
ジャックイン確定。1、2回目はそのまま入れる。3回目はハズすが、ノーマル時の
15枚役は1/3でしか取れないから、あまり引っ張る必要は無い。残り12ゲームまで
ハズしたら、ジャックイン優先に戻す。ハズシ手順は中⇒右適当押しで、リプレイ
上段受けなら「黒7」を左枠内、中段受けなら「キウイ・バナナ・キウイ」の下の
方のキウイを左の中段or下段、下段受けなら「上にチェリーの付いた白7」を左の
中・下段にそれぞれ狙う。2コマ目押しができれば、比較的ラクにハズせた。
一方のスーパービッグは、通常時のST同様、2枚/15枚成立時に押し順ナビが必ず
発生するから、ナビ通りに押せば15枚のバナナで獲得可能。ハズシはノーマルと
同じだが、ナビがあるので残り7Gまで引っ張ってから、ジャックイン優先に戻す。
※パンク時は、トラキが「アチャー!」、ジェニファーが「残念~!」と声を出す。
(リーチ目、告知システム)
各リールには、いわゆる「強い形」(サンドイッチ目など)が存在。
それらが停止して特定の条件を満たせば、リーチ目を構成した。
以下、基本的な形を幾つか紹介。
・左リール
「キウイ・バナナ・キウイ」(小役ハズレで入り)
「リプ・赤7・リプ」(リプハズレで入り)
・中リール
「赤7・キウイ・赤7」(キウイテンパイハズレで入り。赤7上段テンパイで二確)
「チェリー・チェリー・黒7」(黒7下段テンパイで二確、左下段に白7(枠内に
チェリー無し)停止で二確。左上段に赤7停止で二確。)
「チェリー・バナナ・チェリー」(バナナテンパイハズレで入り)
・右リール
「リプ・チェリー・赤7」(ゲチェナ…チェリーorリプハズレで入り)
・その他
「赤7・赤7・白7」の右下がり一直線
「バナナ・キウイ・リプ」のハサミ平行トリプルテンパイハズレ
チェリー付きのバナナ揃い(成立後)
など
★リール窓右のWINランプ点滅でビッグ確定。但し、完全告知ではない為、
リーチ目で察知する機会も多い。トラキのボールがバーディーチャンスで
カップインしたり、ホールインワンが出た場合に、ランプが点滅する仕様。
(当時の主な実戦店)
・向ケ丘遊園駅北口「ニューギンザ」
(現「GINZA P-Style」)
2号機、3号機、初期4号機とよく通っていた店(ベンハー、コンチI、リノ、
チェリーバー、オリIIなど)。当初、スロットシマはメインの大きいシマが
4つのみだったが、4号機の頃、裏口前に沖スロなどの小さなシマが幾つか
出来た(キンバリー30など設置)、本機は、メインシマの右から2番目に設置。
自分の通った時期は客付きも良好だった。ただ、総じて「揉まれる」展開が多く、
スムーズな流れで快勝したのは数える程度。それでも、スーパータイム(仮)を
引いた後の「運命の1/2」には、いつも手に汗握ったものだ。それと、この店で
本機を打ち続けるうち、「スーパータイム」の声を聞く度に「幸田シャーミン!」
と、条件反射的に心の中で唱えるようになった。なぜ、逸見政孝さん(「素敵に
ドキュメント」の進行でお馴染み。大学の先輩。故人)や黒岩佑治さん(大学の
学部の先輩、現・神奈川県知事)、露木茂さん(やはり大学の学部の大先輩)らが
浮かばなかったのかは、今でも謎である。
・新宿西口(ヨドバシ本店近く)パチスロ「NASA」(ナサ)
(閉店、跡地は現在「磯丸水産」西新宿一丁目店に)
ここは、3号機時代にコンチIやコンチIIIをよく触っていたが、4号機時代はさほど
立ち寄っていない。本機の実戦も、僅か1回のみ。それにも拘らず、ニューギンザに
負けず劣らず記憶に刺さっている。昼下がりにフラッと入ったら、店員さえいるか
判らない程のガラガラ具合。そこへニューギンザでお気に入りだった本機が、1Fの
階段下に並んでいて思わず座ってしまう。安ゼニで頻繁にST(仮)には突入するも、
1/2の関門に負けたり、20~30ゲーム程度でパンクしたりで、スーパーが引けない。
時折ノーマルは引くが、コインは下皿で増減を繰り返すのみ。ジワジワ投資も嵩み、
3万ほど突っ込んだ所でようやく長いSTに入り、待望のスーパーに繋がる。しかし、
まさかの「0パン」で、獲得枚数はノーマル以下。その後、誰も居ない店内で寂しく
ハマり続けて、持ち金(5万位)が尽きて終了。疲れ果てて店を出ると、何となく
心に空しさ、侘しさのようなものを感じた。ただ、そんな一勝負終えた後の侘しさが、
私など好きだったのかもしれない。それ故、この店のたった一度の実戦が、今も心に
ガッツリと残っているのだ。因みに、NASAではテクノコーシンの「月夜の鷹姫S」も
打っているが(2Fの窓際)、どんな展開だったかはあまり覚えていない。恐らくは、
展開が普通すぎて、何の侘しさも感じなかったのだろう…。
(エレコ「イーカップ」の項、了)
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イーカップ(エレコ、4号機)
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