以前、何かの記事で、10代の頃好きだったアイドルについて、
中森明菜と河合奈保子の名を挙げたと思う(最近、松田聖子の
魅力についても再認識しているところだが)。そのうちの一人、
河合奈保子が80年代の中頃、民放バラエティのどっきり番組で
見事に引っかかった「ある企画」が記憶に刺さっているのだが、
先日、その映像がYoutube及びニコ動にアップされているのを
偶然にも発見。大変懐かしかったので、つい「文字起こし」して
しまった。貴重な昭和期の映像を残して下さった方々に、感謝
申し上げたい(当方からは「撮影地情報」を提供させて頂いた。
多分、本邦初公開のネタだと思う。詳しくは本文を参照)。
フジテレビ「スターどっきり㊙報告」
(河合奈保子、お葬式編、1985年(昭和60年)OA)
河合奈保子(以下、奈保子)、リポーターのおぼん(「おぼん・こぼん」)
に名前をコールされると、正面奥の「マル秘扉」(自動昇降式)から登場。
おぼん「頭、合うてなかったですね、アハハ。」
(奈保子を呼ぶ声がマイクに乗らず、タイミングの悪さを反省)
奈保子「ウフフ(笑顔で)」
おぼん「(あらためて)こちらが、河合奈保子さんです!」
露木茂(総合司会)「アハハ、ご苦労様でございました。ねえ~、
何か、笑い転げたんだそうですね。さっそく、それでは一言。」
奈保子「(笑顔で)はい。VTR、スタート。」
「河合奈保子 お葬式で大混乱 こらえきれずにワッハッハ!」
の大きなテロップ
(リポーター:おぼん)
おぼん「(カメラに背を向け、葬儀祭壇前で正座。鈴を叩いて合掌後、振り向く)
スターどっきり、マル秘報告!!私は今、川崎市のあるお寺(註:川崎市川崎区の
「宝円寺」で撮影)にお邪魔している訳でございますけども。実はこれからですね、
あの河合奈保子さんのマネージャーの恩師であります先生がお亡くなりになった訳で
ございますけども(「必死にスタンバイするスタッフ」のテロップ)、その告別式に
来ている訳でございます。そしてですね、もう皆様方、準備万端整ったという感じで
ございます(「準備完了」のテロップ)。そこへ、やがて河合奈保子さんがやって
来る。果たして、どうなるか。お楽しみに。」
河合奈保子、式場に到着(「何も知らずに奈保子到着」のテロップ)。受付に
並んでいると、受付の男性が席を外す。一緒にいたマネージャーもトイレに行き、
奈保子一人だけ取り残される(「奈保子を残してトイレに向かうマネージャー」)
のテロップ)。そこへ、喪服で長髪の若い女が登場(「何やら、怪しい女が…‥」
のテロップ)。奈保子が不審気に見ていると、女は受付机の上の香典を全部勝手に
持ち去っていく(「なぜか香典を持っていく女」のテロップ)。香典泥棒の瞬間を
目撃してしまい、動揺を隠しきれない様子の奈保子。
葬儀が始まり、他の参列者らと祭壇前で正座する奈保子。僧侶が挨拶。
僧侶「この度は、お忙しいところ、ご苦労様でございました。」
僧侶が手をついてお辞儀すると、参列者らも同様に頭を下げる。それに合わせて
座ったままお辞儀する奈保子。暫くして顔を上げるが、周りは頭を下げたままだ
(「やけにおじぎの長い一同」のテロップ)。笑いを隠すように、もう一度深く
頭を下げる奈保子。今度は大丈夫かなと頭を上げるが、まだお辞儀中。あまりの
長さにウケる奈保子。その後、やっと一同は顔を上げる。
僧侶の読経が始まる。が、途中で読経の声が止まってしまう(「どこを読んでるか
判らなくなる和尚」のテロップ)。焦った僧侶、ラジカセを取り出して再生すると、
お経のテープが流れ出す(「あわててテープを流す和尚」のテロップ)。奈保子の
隣にいた男性の参列者、「お経、忘れちゃんたんですかね」と奈保子に話しかける。
さらに、男性は会話を続け、僧侶を馬鹿にしたような発言をする(「なにかと説明
したがるおせっかい男」のテロップ)。それを聞いて、思わず笑ってしまう奈保子。
さらに男性は、隣で泣いている女性を指して「こちらにいるのは、故人の二号さん
なんですよ」と、小指を立てて奈保子に小声で説明。見ると、さっき香典を盗った
女だ(「香典を持って行った女は故人の愛人」のテロップ)。衝撃の事実に思わず
笑ってしまう奈保子。すると、背後から別の弔問客が現れ、奈保子に突然サインを
要求する(「サインを求める非常識な男」のテロップ)。奈保子は当惑しながらも
(「困った様子の奈保子」のテロップ)、「今、お経をあげているので…」と断る。
立て続けに、別の参列者達からもサインをせがまれるが(「続々とサインを求める
参列者」のテロップ)、隣のマネージャーが奈保子に代わって丁重に断る。中には、
握手を求める参列者もいる。
隣のおせっかいな男、奈保子に「寝てんじゃないですか、和尚さん」と耳打ち。
見ると、僧侶が見事なまでに熟睡中(「気持ちよく寝ている和尚」のテロップ)。
笑い上戸の奈保子、ついに限界に達したのか、ここから笑いが止まらなくなる
(「急に笑い出す奈保子」のテロップ」)。顔を両手で覆って泣いたフリして、
ごまかすしかない(「泣いてるフリをして笑い続ける奈保子」のテロップ)。
読経を終えた僧侶が立ち上がろうとすると、足がしびれて転倒(「足がしびれて
立てない和尚」のテロップ)。本職としてあり得ない失態に、大笑いする奈保子。
しびれた足をさする姿に、奈保子の笑いも加速(「とめどなく笑い続ける奈保子」
のテロップ)。つい、笑い声をあげてしまう。
さらに仕掛人の「攻撃」は続く。焼香しようと祭壇前に参列者の男性が座ると、
ズボンの尻がビリッと割ける(「何と尻が破け‥…」のテロップ)。バカ受け
して大笑いの奈保子(「割と大胆に笑い出す奈保子」のテロップ)。男性が
立ちあがると、コチラも足がしびれて派手に転倒(「本当に足がしびれた仕掛人」
のテロップ)。笑いの止まらない奈保子。次に焼香した参列者も足がしびれていて、
畳に転がる。しびれの連鎖がおかしくて堪らない奈保子。続いて、前列の参列者が
立ち上がるが、足が臭い(「ウッ、足が臭い!!」のテロップ)。実は、仕掛人の
靴下の中に、納豆が仕込んであった(「何と!靴下の中に納豆を!」のテロップ)。
あまりの匂いに、奈保子の表情が一気に曇る。しかし、別の参列者の靴下に穴が
開いているのを見ると、再び笑い出す(「前の男の靴下は穴あき!」のテロップ)。
おまけに、隣のマネージャーも焼香時に足がしびれていて、奈保子の笑いの
テンションもピークに(「何とマネージャーも足がしびれた」のテロップ)。
自分の「身内」まで失態をさらして、奈保子は床にうっ伏して大笑いする。
(「身をよじらせて笑う奈保子」のテロップ)
焼香が奈保子の番に。「お先にどうぞ」と隣の男に番を譲ろうとするが、逆に促されて
意を決して立ち上がる。と、どこからかいきなり「奈保子ちゃーん!」の大きな声援が
(「いきなり奈保子ちゃんコールが」のテロップ)。不意を突かれて大焦りの奈保子。
続いて、故人の妻が奈保子にお礼の挨拶を述べる。さすがに真面目な表情になる奈保子
(笑いをこらえて急に真剣な顔で未亡人と対する奈保子)のテロップ。)。「ご丁寧に
花まで頂き、有難うございました」と感謝されるが、豪華な花輪に交じって、奈保子の
花だけ寂しい一輪差し(「何と奈保子の花は一輪差し」のテロップ)。それを見てまた
笑ってしまう奈保子。焼香中も笑いが止まらずに、線香を持ったまま吹き出す。両手で
口を押えて必死に我慢しようとするが、たまらず何度も笑い出す奈保子(「どうしよう‥‥
止まらない…」のテロップ)。
焼香が一段落したところで、受付の男性が喪主の未亡人にヒソヒソ何か話しかけている
(「受付の男が未亡人に耳打ちを‥‥」のテロップ)。その受付の男性、皆の前で「えー、
まことに言いづらいんでございますが、ちょっと一言、ご報告をさせて頂きます。えー、
先ほど、私がちょっと留守にした間に、お盆の中にありましたご香典が盗まれてしまい
ました。えー、警察が来るまで、暫時、この後ろに控室がございますので、そちらへ
ちょっと行って頂きたいと思いますが、どうぞ宜しくお願い致します。」と衝撃の報告
(「何と!香典泥棒?!」のテロップ)。唯一の目撃者だった奈保子は、不安な表情に。
ゾロゾロと控室に移動する参列者ら。式場に残った奈保子は、マネージャーに事件の
一部始終を話す。「与膳さん(註:マネージャーの名前)、トイレに行ったでしょう。
その間、私そこにジッといたら、ここに座っていた人(註:故人の愛人)がこうやって、
サササッて香典集めて、で、持っていっちゃったの(「懸命に犯人の事を話す奈保子」
のテロップ)」。
そのマネージャーも立ち去り、一人残された奈保子。すると、そこへ愛人の女が一人で
現れる(「犯人登場にア然とする奈保子」のテロップ)。愛人は祭壇をしばし見つめて、
唐突に奈保子に声をかける。
愛人「奈保子さん…」
奈保子「はい(「いきなりの質問にドギマギする奈保子」のテロップ)」
愛人「さっき…ご覧になったでしょ?私が、香典盗るところ…」
奈保子「(しばらく考えてから、小声で)ええ…」
愛人「奥様に香典取られるのが嫌で、何か、どうしていいんだか判らなく
なっちゃって…(気持ちが高ぶって、泣き出す)」
奈保子「そうっと置いといたら、どうですか。私、置きましょうか?」
(「思いやりのある意見を言う奈保子」のテロップ)
愛人「先生(註:故人)に、全部(香典を)お渡ししようと思って…」
奈保子「…(無言で頷き、理解を示す)」
愛人、祭壇に向かって「先生、ご香典ちゃんとあげましたよね、私」と呼びかける。
何の事だか判らず、不安な表情の奈保子。と、次の瞬間、ガバッと棺の扉が開いて、
棺の中から両腕がニョキッと出現(「突然、棺から手が」のテロップ)。両手には
一万円札の束が握られている。
中に潜んでいたリポーターのおぼん、死装束で「一枚、二枚、三枚…少ない~」と
叫んで、棺の中から登場(「おぼんレポーター、バカバカしく登場」のテロップ)。
奈保子、ここでようやく事態を把握、「ヤバ…」と呟いて安堵の表情を見せるが、
騙されたのがよほど悔しかったのか、立ち上がって部屋の障子を軽く引っぱたく。
おぼん「いや~、しかし私、あの中入ってましてね、ホントに
うかうか死んでられないなと思いましたよ。」
奈保子「アハハハ!(大笑い)」
おぼん「ええ、人が死んでる最中に、よう、あれだけ笑うてくれましたな。」
奈保子「私ね、いや、こんな場所で、やっぱ笑っちゃ失礼だと思ったんですけど…」
おぼん「その割には、豪快に笑っていましたよ、ホントに。」
奈保子「アハハハハ!(豪快に笑う)」
おぼん「裏でモニター見てて、皆で大笑いしてたんですよ。それでは、全国の皆様方に…」
奈保子「はい。」
おぼん「カメラに向かって、一言お願いします。」
奈保子「はい、やっぱりお葬式は、暗い方がいいですね。」
「大成功」の大きなテロップ)
拍手と共に、スタジオの映像に切り替わる
(奈保子、恐縮至極…といった表情で照れ笑い)
おぼん「はい、とにかく笑い上戸の河合奈保子さんでございました。」
露木「でも、分かるよね。やっぱり、一度あの、笑い始めちゃうと、止まらないでしょ?」
奈保子「(笑顔で)そうなんですよね。」
露木「ねえ。」
奈保子「(笑顔で)はい。」
露木「でも、僕はね。あの奈保子ちゃんも、大変だったと思うけどね。
あの周りの人ね、よく釣られて笑わなかったと思って。あれは大したもんだよね。」
奈保子「(笑顔で頷く)」
露木「うーん。でもやっぱり、お葬式よりね、結婚式の方がいいですよね。」
奈保子「(笑顔で)そうですね。はい。」
露木「この間もね、聖子(註:松田)さんの結婚式で、あの、お友達代表で
スピーチしてましたけど、ああいう方がいいでしょう?」
奈保子「(笑顔で)そうですね。はい。」
露木「それでは、一曲歌って下さい。『デビュー』です。」
奈保子、新曲の「デビュー~Fly Me To Love~」
(作詞:売野雅勇、作曲:林哲司、1985年6月リリース)
をスタジオで熱唱⇒彼女のコーナー終了。
(スターどっきり㊙報告(河合奈保子、お葬式編、1985年))の項、了)