今回は、1995年(平成7年)にサミーから登場した
ドラムデジパチ「CRくだもの畑」を振り返りたい。
(最近登場したリメイク版に関する言及はないが、ご了承の程を…)
★賞球…5&15(ヘソ5個、アタッカー15個)
★大当り確率…1/389(設定無し)
★ワープゾーン搭載(フィーバークイーンIIと同部品使用)
★有効ライン…上段、中段、下段、クロスの計5ライン
★図柄…7、チェリー、スイカ、ブドウ、レモン、ピーチ、
BAR、メロン、プラムの計9図柄(5ライン⇒計45通り)
★最高16ラウンド継続(9カウント閉鎖)
★出玉…約2200個弱(2300個説を散見するが、誤り)
★確変機能搭載(フルスペックタイプ)
⇒全9図柄中、7、チェリー、スイカで当ると、
そこからプラス2回の確変に突入(ループ有)
★確変突入率及び継続率…1/3
★確変時の大当り確率…1/55.6
★確変中はチューリップ狙いの止め打ちが有効
アラジンやアラマスなどを思わせた赤7のフォルム
ブドウ揃い(単発)
メロン図柄はメロン型カップアイスに見えた(個人的見解)
文字通り、くだもの(フルーツ)をモチーフにした、ドラム式のデジパチ。
当時のサミーと言えば、やはり「パチスロメーカー」としての印象が
定着していて、同社から「パチンコ」を想起するファンは少数だった。
無論、同社は昭和の里見工業時代から、雀球やアレパチ、アレンジフィーバー
などの各機種を数多く生産しており、1991年以後の新要件時代に入っても、
「タイムスリップ」(1991)「ザ・ローリングアドベンチャー」(1992)、
「CRアラビアンチャンス」(1994)などのアレパチを世に送り出していた。
ただ、デジパチや権利物といった定番ジャンルは、まだ「未開拓」だった。
そんな流れの中、同社は1995年春にデジパチ第一弾「CRゴールドラッシュ」
をリリース。さらに同年夏、本機及び「CRドラゴンウィング2」を2機種同時
デビューさせて、本格的にパチンコへの参入を開始したのだ。
(本機と同時発表された、「CRドラゴンウィング2」
確変はプラス1回ループで、突入率1/2。同社のスロ
4号機「九龍(クーロン)」「神龍2」(シンリュウ2)
を思わせる、中華チックな大当り図柄が特徴であった。
デジパチについては新規参入の立場で、まだ自社製造ラインも
有さなかった当時のサミー。その為、パチンコのトップメーカー
SANKYOと提携契約を結び、部品もSANKYOから調達する形を
とっていた。本機についても、SANKYOドラム機の代名詞存在、
「フィーバークイーンII」(1993)のパーツ(台枠含)を使用。
即ち「ワープゾーン」も特徴で、天下左右のワープ入口経由で、
ステージから次々ヘソに飛び込むお宝台に遭遇する事もあった。
本機は、当時の流行りである、1/3突入+2回ループの「フルスペック」
タイプ。初当りこそ厳しいが、一旦確変ゲットすれば、ワンチャンスで
大量獲得も可能な荒波スペックだった。アタッカー9カウントだった為、
大当り出玉は2200個弱(当時の主流は10カウントで2300個強なので、
出玉やや少なめ)。一方の大当り確率は、当時のフルスペックの代表格
「CR黄門ちゃま2」(1994)の1/394.3より僅かに甘い「1/389」だが、
上記出玉を加味すれば、黄門よりもむしろ辛めだった。個人的な成績だと、
圧倒的に黄門より本機の方が上だったが…(相性と言ったら叱られるか)。
全回転リーチ、左中同時回転リーチ、中右同時回転リーチ等、ドラムの
本家SANKYOに引けを取らない、多彩なリーチアクションを搭載。但し、
全回転でも普通に外れたし、単なるノーマルでも、右ドラムがロングに
発展して、ビタッと当る事もあった(ショートなら大半がハズレだが)。
どんなリーチも一応は期待が持てるゲーム性が、個人的に好みだった。
設置も比較的多く、都内、神奈川で繁華街のホールを探せば、大抵どこかに
並んでいた。特に記憶に残る店は、今はなき、新宿歌舞伎町(コマ劇前)の
「オデヲン」というホールだ。本機で初めて確変を引いたのもココだったし、
本機の実戦で座席両脇に箱をガッツリ積んだのも、この店が初。基本的には
相性のいい台で、単発は他店でも多く引いたが、確変絡みの良い思い出だと、
なぜか新宿オデヲンばかりを思い出す。「台の相性+店の相性」かな(また、
「オカルトめいた話」と言われてしまうが)。確変の一気ループで快勝して、
店の裏にある古い中華料理屋「文華楼」にて、五目焼きそば+炒飯+餃子を
頼んで、ささやかな「祝杯」をあげた日が懐かしい。
(在りし日の新宿「オデヲン」。閉店後はオリパサ⇒マルハンと変遷。)
★★リーチアクションについて
本機のリーチは、ノーマル、左中同時、中右同時、全回転の4種類のみ。今と
なってはシンプルな部類だが、これでも当時は豊富な方だった。先述の通り、
どのリーチも大当りの期待が持てた半面、派手な全回転でも、4~5回に一度
当たる程度で、結構外れた。特徴的な挙動の中右同時回転は、全回転程では
ないが、割とよく当たってくれた。以下、各リーチの動きを簡単に説明する。
(1)ノーマル
左⇒中とテンパイの後、右ドラムが低速気味にスクロール。右の周回数が
増えると、効果音も高音に変化。周回が進み、音階が高くなるほど期待度
アップ。効果音の変化前を「ショート」、変化後を「ロング」とすれば、
ロングの方が圧倒的に信頼度は高い。なお、配列上、ノーマルはダブル
リーチにならない。また、一度外れた後の再始動(二段階)もない。
(2)左中同時
ドラム高速回転中、BGMが派手に変わり(予告音)、左と中が速度を
落として同調開始。そのまま、枠内に左中の図柄がテンパイして停止
すればリーチになる。その後の挙動はノーマルと同じだが、左中同時を
経由した方が信頼度はアップ。但し、左中非テンパイの位置で止まって、
非リーチのハズレ目で終ってしまう事もある。また、左中が同調回転を
続ける途中で右ドラムも同調すると、(4)の全回転リーチに発展する。
即ち、予告音発生後は、「左中同時」「冷やかしの非リーチ」「全回転」
の何れかのアクションに移行する可能性があった訳だ。
(3)中右同時
左ドラム停止直後、中右ドラムが速度を落として同調開始。左図柄に
対応する中右図柄がテンパイ状態で回るので、巧く3つ揃えば大当り。
配列上、左に図柄が1個のみ止まる場合と、2個停止する場合がある。
2個停止の場合、片方が「レモン」でなければ、必ずどちらの図柄も
揃う形で中右が同調して回る為、実質的に「ダブルリーチ」となる。
具体的には、左ドラムに「上段プラムと下段7」「上段スイカと下段
ピーチ」「上段チェリーと下段ブドウ」の3パターンが止まった場合、
中右同時リーチに発展すればダブルリーチ確定となり、(表面上の)
期待度アップ。
(4)全回転
(2)でも述べたが、左中同時アクション中に右ドラムも同調すると、
全回転に発展。全ドラムが同調してスロー回転を開始。図柄の揃った
位置で最終停止すれば大当り、ズレ目で止まればハズレ。確変図柄が
必ず1か所揃った状態で回るのが特徴。また、確変が揃っている裏で
別の単発図柄も揃って回転。例えば、7が揃った状態ならば、裏では
単発のブドウとメロンも揃っている。同じく確変のチェリーが並んだ
状態なら、単発のピーチとプラムも揃った状態で回る。但し、配列上、
スイカ(確変)が並んだケースのみ、単発図柄はBARだけ揃った状態。
つまり、7orチェリーの並んだ全回転は、表面上「1/3で確変、2/3で
単発」となるが、スイカ全回転のみ「1/2で確変、1/2で単発」となり、
確変の(表面上)期待値も上がる。但し、図柄の揃っている総数では、
前者は3つ、後者は2つとなり、大当り自体の表面上の期待度は、7や
チェリーが並んだ方が高い。上記は、意外に知られておらず、ネット
情報も皆無だったので言及。以下の(参考)にも目を通して頂ければ
幸いである。
(参考)「CRくだもの畑」のドラム配列
※〇はブランク図柄
FクイーンIIと同じドラム(部品)を使っていたので、各ドラムの図柄の
数はクイーンと同じ「21個」(パチスロとも同じ)。但し、クイーンは
メイン図柄が8個、ブランク図柄13個だったのに対し、本機はメインの
図柄9個で、ブランク12個。即ち、大当り図柄がクイーンより1つ多い。
また、ドラム配列が絶妙で、中右同時回転時のダブルリーチ、全回転の
「図柄の揃った箇所、本数」等に影響を与えた。なお、全回転時にどの
確変図柄と単発図柄がセットで揃っているかは、以下の配列図を参照。
・全回転パターンA(赤7揃い)
赤で囲った部分、即ち7図柄(確変)が並んだ全回転の時は、
青く囲んだ単発のブドウとメロンも裏で揃っている。即ち、
表面上の確変:単発比は「1:2」となる。
・全回転パターンB(チェリー揃い)
同様に、確変のチェリーが揃った全回転でも、単発のピーチと
プラムが裏で揃っている為、やはり表面上の比率は1:2である。
・全回転C(スイカ揃い)
一方、確変のスイカが揃った全回転は、対応する単発がBARのみ。
よって、表面上の確変と単発の比率は、等しく1:1になっている。
なお、上記説明は「大当り図柄が平行に並んだ」ケースを想定しているが、
本機の全回転は、「右下がり」や「右上がり」に並んだ形でも発生。但し、
その場合でも、上記法則は変わらない。
※※本機の新セルバージョン
「CRフルーツブラザーズ」(1996)
本機のヒットを受けて、後にセル違いの新Verとして登場。
但し、変わったのは盤面のみで、内部仕様に変更点は無い。
(台枠右上の機種名欄は「CRくだもの畑」の表記のまま)
(余談1)
本機リリース後の1996年、「ゴン太のササミジャーキー」(サンライズ)の
CMで、本機がモデルのオリジナル台が使われた。「ゴンゴンゴン太のササミ
ジャーキー」というフレーズで知られたCMのシリーズに、「パチンコ編」が
存在。主役の「ゴン太」(ラブラドール・レトリーバー)が、店でパチンコを
打つという、シンプルな(それでいて非日常な)内容。序盤、リーチが外れて
台を叩いて悔しがるゴン太は、店員に注意されて反省。気を取り直して打つと、
次のリーチが大当り。隣のパチプロ風のオッサンに、「生活かかっとんな」と
声をかけられる。最後は、獲得した景品を換金所の小窓に差し出して、大量の
ササミジャーキーが出てくる…というコミカルな内容である。
(ドラムや周辺部のデザイン等から、本機がベースだった事が判る)
(余談2)
日本テレビの土曜深夜バラエティ「DAISUKI」のパチンコ対決で、
本機が対戦機種になった事がある。1度目は1996年1月。ゲストは
京本政樹。この時は、京本が驚異のヒキを見せ、レギュラー陣※の
台を代わりに打っては、次々と大当りさせていった(ロケ地は赤羽
「ことぶき」)。二度目は97年5月、ゲストは藤谷美紀。第1回戦の
奥村マジカルランプで二度大当りさせた藤村が、第2回戦の本機でも
好調を維持して、序盤に大当り(レモン単発)。続く第3回戦のCR
サクセスストーリー(平和)でも当てて、ダントツの優勝を飾った。
ロケ地は品川区西大井の「バーディー」。普段ヒキ強の飯島直子は
絶不調で、大当りゼロ。藤村の寡黙で反応薄めの態度も気になった
ようで、終始機嫌が悪く見えたのが印象的だった。
※DAISUKIレギュラー陣…中山秀征、松本明子、飯島直子の三名
(サミー「CRくだもの畑」の項、了)
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CRくだもの畑(サミー、デジパチ)
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