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フュージョン(大都技研、4号機)

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(今回は、民話の「語り部」風にお読み下さい…)


もう、17年くらい前の話になるかのう…

2000年(平成12年)に大都技研というメーカーから、
「フュージョン」というスロ4号機が出た事があってな。



これが、なかなか独創的で面白味のあるゲーム性で知られてのう。

Aタイプじゃが、ビッグボーナスが「赤7」「青7」の2種類あってな。

赤7で揃えると平均350枚、青7なら550枚と獲得枚数に大差があった。

ならば、全て青7の方で揃えてしまえば万々歳、と思うじゃろうが…。

そうは問屋が卸さなかったのじゃよ。

なぜなら、青7を揃えるには、ビッグフラグ成立後に「単独青7」のフラグを
別に成立させる必要があったからじゃ。赤7は狙えばいつでも揃うのじゃが、
青7の方は、そう簡単には姿を拝ませてくれんかった。

このフュージョンという奴は少々変わっていての、普通は左リールに単独で
チェリーなんか出ると、1枚だの、2枚だのと払い出しがあったもんじゃが…。

フュージョンでは「青7」もチェリー同様、左単独で払い出しがあったのじゃ。
ビッグ図柄が単独で左に止まって小役としての払い出しがあるなど、当時は
大変に珍しかったのじゃ。

おっと、勘違いして貰っては困るが、チェリーと青7は通常の払い出し枚数こそ
2枚と共通じゃが、全くの「別フラグ」じゃぞ。むろん、出現率も大きく違う。まぁ、
簡単にいうと、小役低確率状態では単独青7の方が出易く、逆に高確率状態は
チェリーの方が出易くなっておった。

それからな、高確時の単独青7は、出現率に設定差があっての。これが大きな
攻略に繋がったんじゃが、大事な話なので、ちょっくら後回しにさせて貰うぞ。

それでの、ビッグフラグ成立後、単独青7フラグが立って左枠内に止まったら、
中、右リールにも青7を狙えば、そのまま揃って青7ビッグが始まったんじゃ。
つまり、ビッグボーナスフラグ+単独青7フラグ=青7ビッグという訳じゃな。
ただ、目押しミスで青7を揃え損ねたら、次の青7フラグ待ちとなってしまう。

青7ビッグは、小役ゲーム中に単独青7がわんさと出る。しかも、通常2枚の
払い出しだった単独青7が、ビッグ中は8枚に増える。カドに止まって15枚。
これが次々と揃うのだから、獲得枚数が一気に増えたのもお判りじゃろう。
青7以外にも、払い出し14枚のブドウが割と頻繁に揃うようになっておった。

一方、楽な方の赤7ビッグで揃えると、チェリーやベルなど払い出しの少ない
小役ばかり揃うようになる。むろん、15枚の青7や14枚のブドウも揃ったが、
青7ビッグのようにバンバン出る事はなかったのじゃ。頑張ってハズしても、
微増か現状維持がいい所で、ヘタすれば適当打ちよりも減ってしまったぞい。

そんな違いがあったもんじゃから、青7ビッグなら600枚越えも狙えて平均
約560枚も出た。赤7ビッグだと平均350枚そこそこじゃから、両者の差は
実に約「210枚」にも達したのじゃ。

そうなると、ビッグフラグが立った後、投資210枚以内で単独青7フラグを
立てて青7ビッグさえ揃えれば、少なくとも損する事はなかった訳じゃな。
早めに青7を引けた分だけ、機械割も上がっていったのは当然じゃ。

じゃが、さっきも言ったように、通常時の青7はそう簡単には揃ってくれん。
しかも、各設定によって、単独青7出現率に明確な差が設けられておった。
青7の引き方で設定を見抜く事ができたのは、この台の大きな特色じゃな。
逆に設定やヒキ次第で、回せど回せど青7を引けなかったりもしたのじゃ。
せっかくビッグフラグが立っているのに、青7フラグが立たずに待たされる
のは、気分的にもジリジリ、イライラ、ドキドキと焦らされたもんじゃよ。

小役低確時の青7は、設定差なしの約1/160で出現するんじゃが、高確状態、
即ち小役補正が働いた時は、設定6で約1/20、設定1なら約1/82と、露骨に
確率が違っていたのじゃ。高設定になるほど高確率になって優遇されていた
訳じゃが、低設定でもそこそこ期待できる値じゃった。ただ、1/82なんてのは
ヒキ次第で大きくバラつくから、なかなか青7が来ずに苦しんだりもしたぞ。

こんな特徴がある以上、ビッグフラグが立った後、なるべく高確状態を維持
すれば、設定不問で勝負できたのでは…と思うじゃろう。確かにその通りじゃ。

通常時のメイン小役は8枚のベルじゃが、変則押しで外し続ければ小役補正が
働き出す。また、14枚のブドウも高確率時はそこそこ成立するから、やはり
ハズしてやらねばならん。チェリーも同様じゃ。具体的な手順は割愛するが、
変則押しして、テンパイした小役を左でかわす。テンパイラインによっては
ビタが必要なので、確実にハズすには、それなりの目押し力も必要じゃった。

おっと、小役ハズシが大事だからといって、肝心の「単独青7」までハズしては、
元も子もないぞ。青7は、常に率先して揃えるように心がけるのが重要じゃった。
中押しなら、毎ゲーム必ず中リール枠上~上段に青7を狙い、枠内に止まったら
右にも青7を狙う。この時、中・右リールで青7がテンパイしたら、その時点で
2確じゃ。左のテンパイラインには、慎重に青7を狙わんといかんぞ。

また、青7を狙う際には、スタート音にも注意が必要じゃ。ビッグフラグ成立後の
特徴として、単独青7のフラグが立つと、レバオン後に「プルップルップル~」と
いう妙ちくりんな音が鳴る事がある。これは青7確定の演出じゃ。キッチリ青7を
狙えば必ず揃うぞ。

ただのう、ビッグフラグ成立後、あまり小役ハズシばかりやっとると、それだけ
投資が嵩んでしまうのも確かじゃ。できる事なら、高確状態と低確状態の境界に
近いゾーンでキープしている方が得じゃった。高低の境界線を目で確認するのは
難しいが、高確率状態を確信したら、その後は手入れとクレジット表示を使って
「何枚投入して、何枚払い出されたか」をチェックし続ける事で、内部の状態を
大まかに把握する事は出来たのじゃ。

高低差を見抜く、という意味では、チェリー成立にも目を配る必要があったぞ。
なぜなら、高確状態のチェリー確率は約1/4と高かったから(低確時の約64倍)、
頻繁にチェリーのフラグが立てば、高確に滞在していると推測できたのじゃよ。
しかも、ボーナスフラグ成立後は、チェリーを取りこぼすと、第3停止の後に
必ず「取りこぼしフラッシュ」(中リールから右リールにかけて、チラッと
光が走る)が発生したので、チェリー成立がほぼ丸分かりじゃった。これに
着目して内部状態を見極めるのも、割と大きなポイントとなっておったな。

それと、フラグ成立に気付く前の段階から、「青7」優先で狙う姿勢も大事じゃ。
ビッグ成立に気付かずに、その後せっかく立った単独青7フラグを見逃す危険が
あったからの。ゆえに、普段から「左枠内青7狙い」を心掛けなければならんぞ。
左に青7を狙えば、青7非成立時は青7が枠下に落ちて「ブドウ・ベル・リプ」が
止まる。この時、中リール中段にブドウかベルが止まり、小役がハズれたら入り。
リプレイが右上がりにテンパイして、リプハズレの形も入っておったの。また、
ハサミ打ちの場合、左「ブ・ベ・リ」から右上段にベルが停止してもリーチ目じゃ。
それから、青7が枠2コマ下に落ちて、左に「赤7・ブドウ・ベル」が止まった時も、
右リール上or下段にビッグ図柄停止でボーナス。左青7狙いは、入り目がシンプルに
なったから、分かり易くて良かったのう。

ともかく、この機種は赤7ビッグを極力避けて、必ず青7ビッグで揃えるように
すれば、低設定でも十分勝負になったのじゃ。それだけに、プロやセミプロの
攻略の的にもなっての。その甘さを見かねた店側は、早々に撤去したりもした。
ワシも、あまり多くの店で見かけた事はないが、東銀座の「ピーアーク」という
ホールで対戦する機会があってのう。しかし、設置期間は随分と短かった記憶も
ある。ここは、先行機「マッドドクター」が大のお気に入りで、仕事終りによく
通ったが、以後も「バンバン」⇒「フュージョン」と立て続けに設置したので、
大都の台を好む店じゃった。ただ、先に入ったバンバンより、フュージョンの
方が先にハズれてしまったのは、返す返すも残念じゃったな。そういや、渋谷の
ファインとか、阿佐ヶ谷ピオンにも置いてあったかの。ピオンといえば、90年代
前半「この世の果て」というドラマでのロケ地にもなって、主役の鈴木保奈美と
三上博史が仲良く並んでフィーバークイーンIIを打っていたシーンがあったのう。

おお、そうじゃ。この機種は、青7攻略ばかり注目されておったが、演出面も
なかなか洒落ておった。まず、予告音機能じゃ。レバオン時、通常音ではない
「ティロリーン」という高音が鳴れば、SP音で期待度アップ。リプレイ以外の
全小役又はボーナスじゃったが。また、レバオンで無音は、ブドウかボーナス。
それからな、ウェイト音にもSP音があって、レバオンで派手なSPウェイト音が
「ティロリロリロ」と鳴り響けば、必ずスタート音がSPか無音になったのじゃ。
SP音なら、ボーナス期待度さらにアップ。無音の場合、ほぼボーナス確定じゃ。

それから、フラッシュ演出も香ばしかったのう。この機種にはな、「スーパー
リーチ機能」という派手な予告フラッシュがあった。レバオン後、リール回転と
共に、リール窓全体がストロボのようにパパパッと大きくフラッシュしたんじゃ。
こうなれば、ボーナス期待度も大幅アップ。この時、ストロボフラッシュの反復
回数が多い程アツかったのじゃ。3回でボーナス確定、2回で約4割、最小の1回
でも約15%でボーナスじゃった。なお、ストロボフラッシュはハズレorボーナス
の演出なので、どのリールも小役orボーナスの形になれば、その時点で鉄板じゃ。
中押し⇒中段青7停止なんてのは、典型的なストロボフラッシュ時の一確じゃな。

まだまだあるぞ。ストップボタンを押した瞬間、各リールがキラキラっとストロボ
チックに消灯したら、小役orボーナス成立の示唆じゃ。まぁ、「消灯演出」じゃな。
消灯するリールによって、対応する成立役が違っておった。左消灯の時は対応役が
多くて期待はできないが、中消灯でブドウorボーナス、右消灯はベルorブドウor
ボーナスじゃった。中消灯など、それなりにアツかったぞ。

それと、告知ランプも重要な存在じゃった。完全告知ではなかったが、リール
右の「青7/赤7」ランプが光れば、それでボーナス確定じゃ。ただ、コイツの
場合、「告知ランプが光ってからが勝負」という特殊なゲーム性じゃったから、
ランプが光ったからといって、安心できなかった。目押しや1枚掛けでBR判別
したりして、ビッグ成立を確信してから「青7狙い&小役ハズシ」を駆使して、
高確状態で青7ビッグを揃えて一安心…という流れじゃったな。

最後にリプレイハズシじゃが、赤7ビッグはハズシ効果もほぼ無いし、そもそも
赤7を揃えるのは損なので割愛するぞい。青7ビッグは、1回目の小役ゲームから
中押しじゃ。別に順押しでもいいが、青7の制御が少々イジワルで、中段に停止
してしまい、せっかくの15枚が8枚に減りかねないから、最初から中押しの方が
安心じゃ。中リール上段に青7狙いで(1)そのまま上段停止でブドウorハズレ。
左上段に2連ブドウ付きの赤7を狙ってブドウをテンパイさせて、右は適当打ち。
(2)青7中段停止は、単独青7、チェリー、ベル、ブドウの可能性があったから、
右中段に青7狙い。そのまま青7テンパイなら、左も青7狙いで15枚ゲット。ベルと
ブドウがWテンパイしたら、左上段に2連ブドウ付きの7を狙う。中右がズレ目なら
左にチェリー狙い。(3)中リール中段ベル停止なら、ベルorハズレなので左⇒右の
順で適当打ち。(4)中リール中段にリプレイが止まったら、ジャックインorハズレ。
右は適当打ち。リプレイ中段受けなら、左枠内に青7狙いでハズせる。下段受けなら、
左下段にベルの付いたBARをビタで狙わないとダメじゃ。なお、ジャックイン確率が
約1/6と低い為、引っ張りすぎるとパンクに繋がりかねん。せいぜい残り8ゲームから
ジャックイン優先に戻した方が安全じゃ。なお、1,2回目はハズさずジャックインを
入れるべきじゃが、左を適当押しだと間違ってハズしてしまう恐れもある。リプレイ
中段受けなら左に2連ブドウ付きの赤7、下段受けなら左に青7狙いでジャックイン
するぞい。

しかし、先行機「バンバン」のフラグ持越し機能にも驚かされたが、フュージョンの
前衛的なゲーム性も、大いに目を見張るものがあったのう。目の付け所が違うというか、
こんな楽しい台を作るメーカーじゃからこそ、その後「吉宗」「押忍!番長」といった
伝説的な名機をリリースしたのも、頷けるというもんじゃ。そういや、押忍!番長の
「青7優遇」「赤7下位」も、このフュージョンが原点じゃな。ワシは、4号機番長も
ガッツリハマったぞい。無論、吉宗にもな…。

まぁ、ワシがフュージョンに関して語れるのは、こんな感じかのう。しかし、
機種画像以外、何の画像も図も使わないで機種説明するというのは、作る方は
楽でも、読む側は随分と骨が折れるじゃろうな…勘弁じゃ。


(参考)

・フュージョンのボーナス確率表

Big Bonus
設定1 1/297
設定2 1/287
設定3 1/277
設定4 1/264
設定5 1/248
設定6 1/240

Reg Bonus
設定1 1/431
設定2 1/420
設定3 1/409
設定4 1/399
設定5 1/381
設定6 1/364

・フュージョンの払い出し表

赤7/青7…15枚+ビッグボーナス
黒BAR…15枚+レギュラーボーナス
ブドウ…14枚
ベル…8枚
チェリー…2枚
青7…通常時2枚、ビッグ中8枚
ケンタウルス…リプレイ


(大都技研「フュージョン」の項、了)


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