~忘れ去られた不遇台を振り返るコーナー~
1993年(平成5年)にSANKYOから登場した新要件ハネモノ「カジノGP」
(盤面)かなり不鮮明な画像で申し訳ない…
(センター役物)正面からの視点
(センター役物)上からの視点
兄弟機の「カジノII」も含めると、当時はそれなりに導入店も見かけたが…いつの間にか撤去となり、次第に記憶からも遠のいた。今や、本機を懐かしむブログ・HPの類は、ほぼ皆無である。
個人的な当時の印象では、大量出玉の代わりに初当りはキツく、しかも辛めの釘調整が施されがちでとっつきにくかった。「一撃1900発」という爆発力ゆえに、警戒するホールも多かったのだろう。
因みに、同時期に設置されていた主な新要件ハネモノには、「たぬ吉くん2」(京楽)、「ファイター&スーパーファイター」(京楽)、「フライングカーペットII」(SANKYO)、「オールドファッションGP&SP」(SANKYO)、「ジャズメンI&II」(SANKYO)、「ドラキュラ城&8」(ニューギン)、「湘南物語&2」(ニューギン)、「ジンジンルーレット&2&8」(ニューギン)、「ダービーキング」(西陣)、「キングスライオン」(西陣)、「パックンザウルス」(西陣)、「じゃじゃ馬キック」(西陣)、「ニュービッグシューター」(平和)、「鮭取伝説」(平和)、「お笑い道場」(マルホン)、「ザ・名古屋&2」(大一)、「ゴリコップ」(大一)、「ビックリハウス2」(奥村)、「ピョンピョン丸2」(奥村)、「エア・メール」(奥村)、「ニューファンシー」(三洋)、「福丸I&II」(三洋)などがある。
(こうして機種名をズラッと並べると、当時のホール状況も、思い出し易いのではないか。)
ご覧のように、この時期は非常に多くのハネモノが出ており、記憶に「刺さる」機種も多い(デジタル連チャン機、役物がコミカルなもの、旧要件のリメイク版など…)。その狭間で、本機の印象がやや薄まってしまった感は否めない。
★カジノのルーレットがモチーフ
★賞球…7&15
★ハネ開閉時間…オトシ=0.4秒 ヘソ=1回目0.6秒、2回目0.4秒(1回目の方が長い)
★最高15ラウンド継続
★大当り時の貯留…1個
★貯留解除…役物9カウント時
★平均出玉…約1500個(最大1900個)
★当時の実戦店…井の頭線・渋谷駅ガード下「タイガー」(閉店)、向ヶ丘遊園駅南口「ぱちんこ遊園」
在りし日の「タイガー」…当時、井の頭ガード付近にはパチ・スロ併設店が多かったが(ウチダ、柳小路、大番、日拓など)、タイガーはパチンコのみズラリと設置。しかも、三共の台ばかり並んでいるという、一風変わったホールだった。その後、ガード周辺の再開発に伴い、西口手前の半地下に「平行移動」して存続するも、そのまま完全クローズに至る。
なお、私にとって「タイガー」というと、この渋谷の店と、都電荒川線・大塚駅前近くの「大塚タイガー」(閉店)、それに四谷三丁目の「四谷タイガー」(現存)の三店舗が、よく通ったので印象深い(川崎駅にも「タイガーセブン」があったが、あまり通った店ではない)。当時、大塚と四ッ谷の店は「等価交換」だったが、渋谷タイガーは2.5円交換だった。まぁ、今さらどうでもいい話だが。
一方の「ぱちんこ遊園」(南口・中和ビル内。階段を上って2Fの左奥)の方は、かのスエイ編集長の言を借りれば、「家庭菜園」のように様々な機種を1,2台づつ、バラエティコーナーよろしく設置した店だ。チューリップ台(平台)の設置も多く、小銭元手に小箱(800個)1つ勝てれば満足だった事を思い出す。
スロは北電子フリーク垂涎のラインナップで、当時はスーパーコップとアポロンの3号機コンビ(共にノーマル)を設置。かつては、2号機のガリバーIIにガリバースペシャル、さらに1.5号機のニューキャスターIIなんかも置いてあった。
★兄弟機…カジノII
(同時発表の「カジノII」。賞球オール10。継続は15R※。役物の動きが本機とやや異なる為、初Vは本機より甘め。平均出玉は約1000個。コチラは、小田急線・町田駅前の「エース」(閉店)にあったな。)
※一部サイトでは、カジノGP(本機)とカジノIIは「継続ラウンド数」が異なる、との説明がある。ただ、私の記憶では、両者の主な違いは「盤面、賞球、役物の動き、平均出玉」であって、「継続R」は共に15ラウンドで共通だったと思うが…(当時の資料を複数検証しても、やはりそう記してある)。真相は、実機を所持する方の「再検証」に委ねたい。
なお、「平均継続ラウンド数」で見れば、カジノIIの方がやや多い事は確かだ。
先述したように、本機のセンター役物は、「カジノのルーレット」を模したものだ。
なお、盤面を見ても、天下には大きなルーレットのイラストがあるし、1チャッカーはバニーガール、2チャッカーはルーレットが描かれている。
数字が書かれた役物ルーレット盤の中心には、「ホイールヘッド」(「ターレット」)と呼ばれる、ドーム型の大きな中心軸があり、玉1個通過可能なアーチ状のトンネルが開いている。(ホイールヘッドの上部には、蛇口のような取っ手も付いていた。
(ホイールヘッド(ターレット))
この金色で派手なホイールヘッドとトンネルこそが、本機のゲーム性の大きな「肝」であった。
また、役物奥では、とぼけた表情のディーラー(オヤジ)が、赤いタキシードに身を包み、役物上部から来た玉を待ち構える。大当り中は、このオヤジが貯留に一役買っている(後述)。
ハネに拾われた玉は、上段奥中央の「GO」部分から、下段に鎮座するディーラーの両腕(白いプラスチックでできた、水平な左右アーム)付近に落下した後、手前のホイールヘッド方向に転がる。
金色にピカピカ輝くホイールヘッドは、通常時、トンネルを正面に向けて停止している。
その為、役物に入賞した玉は、このトンネルをくぐって、容易に手前中央のVゾーンへ入りそうに思える。
しかし、実際は、V入賞させるのが非常に困難になっていた。
なぜなら、ハネ開放時(正確には始動チャッカー入賞の瞬間)、ホイールヘッドが反時計方向にクルクルと回転を始めるからだ。
当然、トンネルがタイミングよく正面に来た時でないと、玉はトンネルを通過しない。そのタイミングは極めてシビアである。
役物中央で回転するトンネルに玉を通す…新要件機において、このテのゲーム性でピンと来るのは、やはり平和の「ニュートキオ」と「ニューヨーカー」だろう。本機も、センターのトンネルを通過しなければ、V入賞の可能性はゼロである。しかも、ニュートキオやニューヨーカーとは違って、穴が正面を向いて一時停止することがなかった。
その為、ディーラーのいる役物奥から手前へと転がって来た玉は、大半が回転するホイールヘッドに阻まれて左右へ弾かれ、V両脇のハズレ穴に流れてしまう。
一方、タイミングよくトンネルをくぐった玉は、そのまま一直線に手前Vゾーンに向かいやすい。これが、大当りの王道パターンである。
但し、ホイールヘッドには「遠心力」が働いているので、たとえトンネルをくぐった場合でも、トンネル入賞のタイミングが悪かったりすると、あっさりVを逸れてしまう事もあった。トンネル入賞から穴を抜けてVゾーンに収まるには、非常にシビアなタイミングが要求された。
また、始動チャッカーとの関係でいえば、1チャッカー入賞時(オトシ)よりも、2チャッカー(ヘソ)入賞時の方が、トンネルの周期と役物内の玉の動きが同調し易く、V獲得の可能性が高かった。
特に、ヘソ入賞時は、1回目のハネ開放時の方が、2回目よりも開放時間が長くなっていた(1回目=0.6秒、2回目=0.4秒)。その為、最初のハネ開放時には、複数個の玉を拾う事も多く、その分、トンネルをくぐる確率もアップしたのだ。
こうしたことから、2チャッカーの甘い台は、ある意味「お宝台」であった。
一方、オトシ入賞時は、V獲得の可能性はかなり低いが、ポンポンと立て続けにオトシに入ったりすると、時間差でハネが2回開き、普段は同調しにくいトンネルと役物の玉の動きが、ピッタリ合ったりした。
とはいえ、上記はいずれも「ヘソやオトシの調整が甘いこと」が大前提だった。しかし、本機を設置するホールでは、大量出玉を警戒して釘を絞りがちだった為、上記パターンで初当りを掴むのも、決して容易ではなかった。一向にVを掴めぬまま、財布が先にパンクする事もあった。
なお、チャッカー入賞の瞬間、打ち出しをいったん停止して、タイミングをずらして打ち出しを再開すると、ハネに拾われやすいという「小技」も存在した。
首尾よく大当りすると、役物奥のディーラーの両腕の間に、玉を1個貯留するようになる。本機の構造上、貯留はさほど難しくなかった。
また、大当り中は厄介なホイールヘッドが回転せず、トンネルを正面に向けたまま停止。
その後、役物9カウントで貯留解除となるが、ディーラーの腕にしっかり貯留されていれば、解除された貯留玉は、そのまま手前のトンネルを真っ直ぐくぐり抜けて、高確率でV継続となる(パンクはショック大なので、クセ悪台を掴むとアウト)。
なお、貯留解除時に玉突きなどで不測のパンクが発生するのを防ぐ為、役物8カウントで単発打ちに切り替えて、9個目がハネに拾われたら即・止打ちするのも有効だった。
初当りがかなりキツイ分、完走率は非常に高く(完走時の出玉は約1900個)、平均出玉も約1500個程度と多めだった。釘さえまともなら、かなり期待できるスペックだったが…。調子に乗って打ち続けると、せっかく出た玉を、ソックリお返しする羽目になる事も。たとえチョイ勝ちでも、引くべき時は引く…こういった勇気も時には必要だった事を思い出す。