1995年(平成7年)に西陣から登場した現金機デジパチ「ビバシティー」
★賞球…7&15
★大当り確率…1/245
★図柄…0~9、リンゴ、オレンジ※、チェリー、ベル、スイカ(15種類)。中デジのみブランク図柄有
★有効ライン…上下2ライン
★最高16ラウンド継続
★出玉…約2300個
★全15図柄中、奇数(1、3、5、7、9)で当ると、次回までの確変(小デジ)に突入(ループ有)
★確変突入率・継続率…1/3
★小デジ確率(「7」で当選)…1/10(通常時)、73/100(確変時)
★小デジ回転時間…29秒(通常時)、6.6秒(確変時)
※「プラム」と呼ぶ攻略誌もあった。
「平成7年」というと、当局の肝いりであるCR機が、ジワジワとその勢力を拡大※していた。また、デジパチの「顔」であるデジタル画面も、すでに「液晶」タイプが主流となっていた。
(※現金機が全く振るわなかった訳ではない。保留連チャン機を残すホールも多く、確変デジパチ、時短デジパチ、権利物なども充実していた)
CRFワールドI、CR球界王EX、CR名画、CR黄門ちゃま2といった前年の人気液晶(一部はブラウン管)機に加え、95年前半はCRウルトラダイナマイト、CRミスパチプロ、CRバトルヒーローV、CRパチプロヒストリーXといった液晶搭載の新台が次々登場。当の西陣も、カラーブラウン管を搭載した新鋭「CRチキチキドリームR」がスマッシュヒットを飾っていた。
そんな折、オーソドックスなドットデジタルで勝負を挑んだ本機。「安易にトレンドに屈しない」といった、気概が感じられた。CRよりも現金機を好んだ私にとって、まさにピッタリの一台だった。当時、新宿東南口の※「平和」(閉店)や、歌舞伎町の「日拓」(現・エスパス)チェーンで打った。
(※「平和」は長らく本機を設置。他にも、三洋「野球拳」、三共「フィーバークイーンII」、ニューギン「エキサイトジャック2」などの現金機を、2000年以降も置いていた)
以前、情報を下さった方もいるが、斉木しげる主演のVシネマ「パチプロ日記」で、冒頭田山プロ(斉木)が京楽ボンバーキャットを打つ場面で、別の客が本機を打つシーンが一瞬出てくる。ロケ地は、本機を実際に設置していた、南武線・稲城長沼駅近くの「スエヒロパート2」(閉店)。
今思えば、ファンキードクター(マルホン)、ブラボー七福神(平和)、ブラボーロイヤル(平和)、スーパー福の神(奥村)、出世街道II(三星)など、1995年に出たドットタイプの現金機(確変機や時短機)には、何かと思い入れのあるものが多い。
同じ年に出た「セブンゲッター」(大一、確変デジパチ)も、やはりドットタイプで、雰囲気的には本機と重なるものがあった(あくまでも個人的感想)。コチラは、SP音からの右スベリがアツかった。故・田山幸憲プロの「パチプロ日記」(桜新町H店)でも、たびたび登場。因みに、田山さんは、当初セブンゲッターを全く打たなかったが、かなり時間が経った後、地下のCR機が度を越した「シメシメルック」になって、ようやく打つようになった(その後、「ナナシー」がメインに)。
さて、本機はスロットマシンのドラムを思わせる、ワイドで立体的なデジタル画面が特徴だった。図柄もチェリー、ベル、オレンジ、スイカ、リンゴと、やはりスロットを意識していた。
そういえば、当時のメーカー仕様書には、「食欲をそそる大型図柄に多彩なリーチアクション」という表現があった。確かに果物図柄が多いが、特に腹が減り易かったという記憶はない(笑)。
一方のリーチアクションは、シンプルながらも非常に秀逸だった。有効ラインは、上下(平行)の2ライン(どちらに揃ってもOK。配列上、両方に図柄が揃う事はない)。
停止順は「左⇒右⇒中」で、左右テンパイからのリーチには、「ノーマル、スロー、二段階、拡大、全回転」の5つがあった。スローと二段階はノーマルから発展する。また、全デジタルが同時にスクロールする全回転リーチは、先行機に因んで「春夏秋冬リーチ」とも呼ばれた。
先日、当ブログで、その春夏秋冬の全回転の原型となった「アラシキング」を紹介した際、コメントで本機に触れた方がいたが、まさにその通り。西陣の全回転アクションは、「アラシキング⇒春夏秋冬⇒ビバシティー」と受け継がれて、その後も着実に継承された。
(各リーチの特徴)
ノーマル…中デジが速度を落としてスクロール。スローや二段階発展ならばチャンスはあるが、このままだと、まず当らない。
ノーマルスロー…大当り図柄が近づくと中デジがスローに変化。信頼度は低いが、たまに当る。
ノーマル二段階…ノーマルで一旦ハズレ停止後、中デジが再始動。非常に当たり易かったが、大外れの場合もアリ。実戦上の信頼度は7割ほど。その分、出現率は低い。
拡大…中デジが巨大化してスクロール。アメドリっぽく大当り図柄の手前からスローダウンする動きを、最大で3周繰り返す。こちらも信頼度は高い(実戦上は約50%)。
全回転…左右テンパイの瞬間、中デジにも同じ出目が並んだ場合、そのまま全デジタルが同時スクロールを開始(春夏秋冬リーチ)。配列上、3つ揃いの箇所は一部だが、信頼度は高い。
(拡大リーチ…本機の配列上、左右デジタルが「4と3」「8と7」の2ヶ所で止まると、上下段で数字がテンパイして、「ダブルリーチ」となる(大当り時は、どちらか一方が揃う)。
(ワープルート)
本機は、西陣お得意の「ワープルート」も搭載。天下(デジタル上)にステージ状の入口があり、ここからデジタル左右を通った玉は、下のメインステージに出た後、手前のヘソを目指す。
本機のヘソ入賞パターンは、デジタル左右から誘導釘、ジャンプ釘を伝ってヘソに入る通常ルートの他に、誘導釘で跳ねた玉がデジタル下のステージに乗ってヘソに向かうパターン、そして天下ワープを経由してヘソに入る計3パターンがあった。
当然、ワープに入り易い台ほど有利だが、実際のワープ経由のヘソ入賞率は、台毎の「ネカセ」や「クセ」で大きく変化した。ワープに入れば半分がヘソに入る台があった一方で、ステージから手前に転がった玉がことごとく左右に逸れて、始動チャッカーにさっぱり入らない、極度のクセ悪台もあった。
(ワープ入口…玉が乗り易いステージになっていた)
見事に図柄が揃って大当りとなると、ドット画面では、カジノをイメージさせるスロットマシンが登場する。また、大当り中は、ビートルズの名曲「オブラディ・オブラダ」の軽快な旋律が流れる。
(確変時=止打ち攻略)
先述の通り、全15図柄中、5通りの奇数で当ると、次回までの確変(小デジ)に突入(奇数は赤、偶数は橙と、デジタルが色分けされていた)。
次の大当りも奇数ならば、確変はループする。平均連チャンはともかく、ヒキ次第では、確変が続いて一気にドル箱を積むこともできた。
確変中は、メイン確率こそ不変だが、小デジ当選率が1/10から77/100に大幅アップ。また、小デジの変動時間も、29秒から6.6秒に大幅短縮される。さらに、メインデジタルの変動時間も短縮されるので、時間効率もアップ。
また、本機の確変の特徴として、「確変中は右打ちで消化」という点が挙げられよう。小デジを回すスルーも、始動チャッカーを兼ねた電チューも、共に盤面右に配されていたのだ(デジタル右脇にスルーが、その真下に電チューが配置)。
電チューは、2秒又は2個入賞まで開放。性能は非常に高く、電チュー周りの釘さえ普通なら、開放時は確実に2個拾ってくれた。タイミングが合えば、3個以上入賞する事も少なくなかった。
この特徴を生かして、確変中は「止め打ち」を確実に行い、出玉を増やす事が出来た。しかも、手順はシンプルで、根気さえあれば、誰もが実践可能だった。
具体的には、小デジ周期(電チュー開放周期)に合わせて玉を数発打つ。上部左右枠ランプの点滅を数えて打ち出しのタイミングをはかり、「3回点滅⇒4個打ち出し」をひたすら繰り返す。
(小デジの保留が無い時は、連続打ちでもOK)
これだけで、普通に打つとジワジワ減る調整でも、逆に少しづつ玉は増えた。そのままハマり続ければ、ドル箱1つ(それ以上)の上乗せも可能で、地味ではあるが強力な攻略法といえた。確変中もメイン確率は1/245だったので、「ハマリでの玉増えチャンス」は少なからずあった。
最後に余談だが、機種名「シティー」繋がりで、本機と同じ1995年に奥村から出たデジパチ「バーストシティー」シリーズ(バーストシティー、715、CR版の3つ)を思い出したので、ちょっと一言。
ご存知の通り、この年の1月に未曽有の被害を生んだ阪神大震災が発生。まさに、その直前に出た「バーストシティー」(現金機2機種)。全くの偶然とはいえ、震災を連想しかねない盤面デザイン(ビルが吹っ飛ぶイラスト(バーストシティ)、「爆裂都市」の仰々しい漢字ロゴ(715)が不謹慎と判断されて、早々に発売中止が決まった。その後、3月にはデザインの全く異なるCR版が登場(「バーストシティ」の機種名自体、街が爆発するイメージで問題はあろう)。
その数ヶ月後に本機が出た訳だが、コチラは「ビバシティー」(VIVA=万歳)で、盤面にも震災を想起させるものはなく、特に問題視されなかった。確かに、震災後に「万歳都市」とは不謹慎…との批判もあろうが、「VIVA」には復興地を激励するプラスの意味合いも強く、自粛せずの判断は妥当であろう。
これが、もしも震災の直前に「シェイクシティ―」(「SHAKE=揺れる)なんて名前で出ていたら、早期のお蔵入りは確実だった筈だ。言うまでもなく、「機種名」と「登場時期」は、その後の命運を決める重要なポイントといえる。
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ビバシティ―(西陣、デジパチ)
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