古き良き、昭和のパチンコ…
1981年(昭和56年)に平和から登場した、一般電役の名機「モスラ」。賞球は「オール13」。
天穴部分には「SUPER MOSURA」のロゴがあり、「スーパーモスラ」と呼ばれる事もあったとか。
残念ながら、現役時に対峙する事は遂に叶わなかったが、その優れたゲーム性は、私も最低限は理解しているつもりだ。
本機は、当時都内で認可されず、主に、東北、東海、北陸、九州などで活躍したという。
1990年(平成2年)から都内・神奈川のパチ屋で活動を開始した私にとって、時代的にも、地域的にも、遭遇が難しい台だった訳だ。そんな状況下でも、設置店まで遠征したレトロフリークの方々を尊敬する。
いわずもがな、怪獣映画でお馴染みのキャラクターを模した、インパクトタップリの役物が特徴。天下の小さい羽根は通常時に、その下の大きい羽根は大当り時に、それぞれ活躍した。
また、モスラの顔の下にある両足(胴体)も、通常時と大当り中で大きく形を変えて、役物内の玉の動きに変化を与えた。特に、大当り中は玉を1個貯留して、ほぼ確実にV継続となった。
V継続回数に制限はなく、「貯留が続く限り、V継続」という電役としては画期的なゲーム性が、大量出玉可能な「夢」をファンに与えて、人気を博した。また、このシステムこそ、その後の貯留タイプのハネモノの「礎」となった(本機は、カテゴリー上「一般電役」だが、ゲーム性はハネモノに近似)。
左右のオトシ(ACTIONチャッカー)入賞で、天下の小さいハネが約1秒開放。ハネに拾われた玉は、モスラの「体内」に取り込まれて、下方に落ちる。通常時、大きなハネと両足は、共に垂直状態で静止。また、ハネ開閉時は、モスラの雄叫びを思わせる、「ワーオ、ワーオ」という電子音が鳴る。
なお、左右オトシの釘の形状には、ハネモノのような「ストレート」タイプと、画像にある「バラ釘」タイプの、計2種類が存在した。前者は北陸、後者は名古屋という風に、設置エリアによって異なるバージョンが設置されたという。
また、盤面デザインも、私の知る限り、画像のような「宇宙空間」をイメージしたものと、盤面右上に「鳳凰」が描かれた2パターンがある。他にも、様々なデザインの台が出回っていたのかもしれない。
天下のハネに拾われた玉は、大ハネと両足(胴体)が形成する役物の空間を通って落下。大抵は、最下段のハズレ穴に到達して「アウト」となる。
一方、ハズレ穴の真上には小さな橋(レール)のような突起があり、玉が落下途中で橋にうまく乗ると、その奥に設けられた小さな丸いV穴に吸い込まれて、大当りとなる。経年劣化で橋が削られて、V入賞もキツくなったとか…。
V穴に入賞すると、大きなハネが垂直からゆっくり左右に広がり、水平近くに開いてから約6秒(始動開始からは約9秒)静止する。同時に、垂直だった二本の足(胴体)も「くの字」に曲がり、「X」字の状態で止まる。ハネ開放中は、「ワワワワ…」と、耳を突くような電子音が鳴り続ける。
ハネの外側から拾われた玉は、ハネ奥に設けられた飛び込み穴に直接入賞。一方、ハネの内側に流れた玉は、役物内に取り込まれる。但し、下段のハズレ穴には入らず、X字の形で停止した両足の間に、玉を1個貯留する(2個貯留の場合もアリ)。あたかも、ハネを大きく拡げたモスラが、ガッチリと玉を抱える感じだ。
開放を続ける大きなハネは、6秒経過後又は役物8カウント後、再び閉鎖して垂直状態に戻る。同時に、くの字に曲がった両足も伸びて、貯留は解除される。モスラが抱えた玉を、おもむろに落下させる感じだ。解除された玉は、ほぼ確実に真下のV穴に入って、大当りは継続する。
貯留玉のV穴入賞率は極めて高く、うまくいけば上記の動きを延々と繰り返して、一撃での大量出玉も可能だった。もちろん、釘調整次第で、「大当りし易く、継続しづらい」マイルドなタイプにしたり、「初当りはキツイが、継続し易い」一発タイプに調整したりと、ゲーム性を多様に変化させる事もできた。
なお、本機は1個貯留だと容易に継続するが、2個貯留だと、貯留状態によってはVを外す危険があった。この時、台をドツいて貯留の位置を変えて、パンクを回避する荒業があったという。
余談だが、以前、有名パチスロ攻略ライターの「BOSS」と、有名スロプロ「しのけん」の両氏が、CS番組と攻略誌の共同企画で「旅打ち」を行った際、福岡・北九州(八幡東区)の「西門会館」という古いホールに立ち寄った事がある(1999年)。
直接のお目当ては、タイヨーの右レバー1.5号機「ハイアップターボ」だったが、店内に貼られた手書きの設置台一覧には、レトロファン垂涎のパチンコ名機が、数多くリストアップされていた。その中に、本機の名前もしっかり入っていた(「モスラ」ではなく、「モスラー」になっていたが)。
因みに、、二人はこの店で豊丸「シーザー」(旧要件デジパチ、保留連チャン機)や、平和「ビッグシューター」(旧要件ハネモノの名機)などを打っていた。特に、しのけんは、着席するや速攻でシーザーを大当りさせるなど、流石のヒキの強さを見せた。
私も一度は訪問したかった「西門会館」だが、惜しくも閉店となり、跡地は既に駐車場と化した。
(C)Google
「西門会館」跡地
(1999年当時、「西門会館」店内に貼られた、手書きの設置機種リスト)
「セブン」…デジパチ、「電役」…一般電役、「羽根」…ハネモノ、「普通」…普通機
17機種
★奥村 モナコボート 1/227 セブン
★正村 マジカルチェイサー 1/227 セブン
★豊丸 シーザー 1/200 セブン
★京楽 玉ちゃんファイト 電役(※原文ママ。実際は「羽根」)
★三洋 スタヂアム 羽根
★三共 ハイパーボール 普通
★西陣 レッドライオン 羽根
★西陣 ベースボール 羽根
★平和 スーパーキャノン 羽根
★平和 ビッグシューター 羽根
★平和 エアプレーン 羽根
★平和 モスラ― 電役
★平和 エアライオン 普通
★京楽 UFO 電役
★タイヨー ハイアップターボ
★サミー アレンジボール
★サミー 雀球
綜合遊技場 西門会館
(「旅打ち」ビデオ映像から書き起こしたもの)
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昭和の名機「モスラ」(平和、一般電役)
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