1995年(平成7年)に平和から登場した新要件ハネモノ「ごくらくBAND-DX」
★賞球…7&13
★最高8ラウンド継続
★大当り中は、ヤクモノ内に最大4個貯留(6カウント又はハネ18回開閉で解除)
★平均出玉…約600個
★大当り中のサウンド…「パイプライン」(ベンチャーズ)※旧要件機「ビッグウェーブ」を踏襲
★当時の設置店…小田急江ノ島線・東林間駅「大丸」(閉店)など
「お坊さんのロックバンド」をテーマにした、大変ユニークなコンセプトのハネモノ。オトシには、キンピカ仏像のイラストがある。
ヤクモノ真下には、「HEAVY METAL SOUND」の表記。盤面に描かれたお坊さん達も、コミカルな表情でギターを熱演、マイク片手に熱唱、グラサン姿でドラム演奏と、ライブ感は十分。
「僧侶」と「ロックバンド」。一見、違和感タップリの組合せにも思えるが、元ネタ(推定)を知る人からすれば、「ああ、あれね…」と、すぐピンとくるハズだ。
あくまでも「推察」に過ぎないが、恐らく本機の開発者は、かのアマチュアバンド・オーディション番組「イカ天」(「三宅裕司のいかすバンド天国」)のファンだったと思われる。
昭和末~平成初期のバンドブームを反映して、「社会現象」にまでなった名物番組「イカ天」。
かくいう私も、中学・高校・大学と、バンド在籍の過去を持つ…担当はキーボード。最大の見せ場は、大学時代「北沢タウンホール」のイベント出演時かな。
イカ天は、毎週土曜・深夜に放映。全国各地から、個性溢れるバンドが数多く出場した(司会は三宅裕司と相原勇)。
番組出演を機に、メジャーデビューを飾った例も多い。たま、ビギン、人間椅子、フライング・キッズ、カブキ・ロックス、マルコシアス・バンプ、ブランキー・ジェット・シティ、ノーマ・ジーンなど、才能豊かなミュージシャン達を、続々と掘り起こした。
そういえば、ニューギンの新要件デジパチ「スターマイン3」(1991年)の「夏祭り」でお馴染み、ジッタリン・ジンも「6代目イカ天キング」である。
また、石田ひかりがバニーガール姿で新宿「グリンピース」の宣伝をした日テレのドラマ「悪女(わる)」でも、メインテーマを歌った「RABBIT(ラビット)」がイカ天キング出身だった。
個人的には、「LANPA(ランパ)」という大阪のアコスティック・グループが大好きで、女性ボーカル・八千代さんの透明感タップリな歌声に癒された(21代目キング)。
ところで、これら「イカ天」出場者の中に、メンバー全員が「本職の僧侶」という、異色のバンドが存在した事をご存知だろうか。
その名も、「坊さんバックスピン」。かなり、ブッ飛んだ名前のロックバンドだ。
ボーカル、ギター、ベース、ドラムの4ピース構成で、演奏時には、袈裟と衣の「僧服」を着用。
もちろん、全員、剃髪。
ボーカルは、爆風スランプ「サンプラザ中野(当時)」を彷彿とさせる、サングラス姿だった。
1990年(平成2年)の初登場時、画面を通じて彼らを見た時は、「何だ、こりゃ!」と思わず目を疑った。その一方で、「ただの色モノバンドでは?」と、タカをくくっている部分もあった。
だが、彼ら披露した「アイム・ソー・タイヤード(I'm so tired)」という曲は、なかなか聴きごたえのある「名演奏」だった(見事、「完奏」に成功)。
ボーカルは、「さすが僧侶」といった低音の美声で、グラサン・無表情・直立不動で歌い上げる姿は、インパクト十分だった。
特に、サビの「アイム ソー タイヤード~!アー タイヤード!」の部分は、ジャパニーズ・イングリッシュ全開のお経チックな発声法で、独特の世界観にジワジワ惹き込まれた。
他のメンバーも、キレキレのベース、タイトなドラミング、そしてハードかつ軽快なギターリフと、完成度は何気に高かった(間奏でボーカルが見せたトロンボーン演奏は、正直微妙だったが)。
(C)「まにあっく懐パチ・懐スロ」管理人M
伝説のイカ天・僧侶バンド「坊さんバックスピン」
(画像が無いので、ボーカルのイラストを作成)
結局、キングには敗れたものの、「坊さんが僧衣でハードロック演奏」というタブーも相俟って、その存在感を「ガツン」と視聴者に見せつけた。
その後、彼らが「メジャーデビューした」との報せは聞かないが(僧侶が本職だから当然か…)、「記憶」に残るという意味では、歴代のイカ天KING達にも劣らぬ、鮮烈なイメージを残した。
…まぁ、ここまで書けば、もうお判りだろう。
本機の「坊さんバンド」という破天荒なモチーフは、どう考えても、イカ天の「坊さんバックスピン」が元ネタとしか思えないのだ。
まぁ、今となっては確認のしようもないが…多分、間違いない(笑)。
では、前置きはこの程度にして(長い)、本機のゲーム性を概説。
センター役物の下段ステージには、エレキギターを弾く、ノリノリのお坊さんキャラ。
オトシ・ヘソ入賞でハネが開くと、ヤクモノの坊さんが、振り子のようにクルクル左右を向く。
ハネに拾われた玉は、上段ステージを経由して、左右に動く坊さんの背後に落ちる。
坊さんの裏側には、玉を一旦貯留する「受け皿」がある。上段ステージから落下した玉が、やはり振り子の要領で左右に動く受け皿にうまく乗るとチャンス。坊さんの両足の間の穴(玉1個分)を通り抜けて、ど真ん中から手前のVゾーンに入賞する仕組みだ。
もちろん、簡単に受け皿には乗らず、多くは下段ステージ両脇へにそれてハズれる。一方、受け皿に乗り易くする「サポート機能」もあった。
ハネ開閉中は、ヤクモノ両壁にある「突起」が、開閉を繰り返す。この突起にタイミング良く当ると、玉の向きが中心方向に変わるので、受け皿に乗り易かったのだ。
但し、勢い余って受け皿でバウンド後、そのまま皿から落ちる事も…。ともかくも、下段の受け皿に乗った時が、V獲得の大きなチャンスとなった。
大当りすると、ヤクモノの「ギター僧侶」が、クルリと裏側に回って姿を隠す。代わって、ボーカル担当の坊さんが、ステージ正面に現れる。
ちょうど、回転する「お立ち台」に乗ったボーカルが、ギターと入れ替わって出てくる感じだ。
ただ、ヤクモノの作りでいうと、ギター僧侶の裏にボーカルのイラストが描いてあるだけだが。
ボーカルがこちら向きで静止すると、ヤクモノ奥にあった受け皿が、キャラ手前側で停止する。大当り中は、この受け皿に最大4個の貯留が可能。
ヤクモノ6カウント又はハネ18回開閉で、ボーカルは再び裏に隠れて、ギターと「バトンタッチ」する。同時に、貯留の受け皿も、裏側(奥)に戻る。そして、通常時と同様、貯留玉がギター僧侶の足の間の穴をくぐって手前に転がり、V再入賞を果たす訳だ。
大当り中も、ヤクモノ両壁のアシスト突起は、一定間隔で開閉を続ける。やはり、タイミング良く突起に当たった玉は、受け皿に貯留され易い。
貯留解除時にV入賞しなかった場合、ギター僧侶は、通常のハネ開閉と同様、振り子の要領で左右に動き続ける。こうなると、残るハネ開閉で、裏側の「動く受け皿」に乗せるしか手はない。
(もちろん、ハネ18回開閉後の貯留解除でVを逃せば、パンク確定)
基本、貯留さえあれば継続し易い構造だが、寄りが悪かったり、突起の開閉とヤクモノ入賞のタイミングがズレっ放しだったりすると、貯留できずにパンクする事もある。
本機は15ラウンド継続ではなく、最大8ラウンドしか継続しない為、完走しても出玉は少なめ。パンク考慮の平均は、約600個。モチーフも出玉も、「ユルユル、マッタリ」なハネモノである。
大当り中は、同社の旧要件名機「ビッグウェーブ」と同じく、ベンチャーズ「パイプライン」の軽快なサウンドが流れた。
「坊さんとベンチャーズ」の関係性は不明だが、ボーカルではなくギターを「主役」に配した点を(盤面、ヤクモノ双方において)、強調したかったのかもしれない。
※「坊さんバックスピン」でギターを担当された方は、既に鬼籍に入られたとの事…。