我が「レトロアイテム・アーカイブス」から
発掘に成功した一本のカセットテープ。
(A面)
(B面)
既にケースや包装はなく、何処の会社が販売したか見当すらつかないが、
昭和期にヒットしたTVアニメやアニメ映画の主題歌(挿入歌)を幾つか
抜粋で収録してある。商品タイトルもよく判らないが、曲目リスト上に
「唄入り TVマンガ 火を噴けライダー拳/おじゃまんが山田くん」と
太字で書いてあるから、或いはこれが正式なタイトルかもしれない。
ただ、本作をどこで購入したかは、今もよく覚えている。小4の頃だから、
1981年(昭和56年)か。この時期、毎週土曜になると、向ケ丘遊園駅
近くにある大型スーパーの「ダイエー」(現存)に、父の運転する車で
家族で買い物に出向くのがお決まりだった。当時、店の3Fの端っこに
「ゲームコーナー」があり、店に着くと親から幾ばくかの小銭を貰い、
親が買い物をしている間、同行した弟と共に時間を潰した。定番の
ビデオゲームは勿論、10円玉とコインで遊ぶ「ピカデリーサーカス」
(定番のルーレット)や「国盗り合戦」(戦国時代風・陣取りゲーム)、
自分で球を投げて自分で打ち返すピンボール筐体の「野球ゲーム」も
大好物だった。また、西部劇の射撃ゲーム(筐体に固定された拳銃で、
画面上に出てくる敵だけを撃つ)も良くやったし、カーレースゲームの
当時の定番である「モナコGP」も、中毒性があって大好きだった。
さほど広くないその空間には、子供心をくすぐるゲームやエレメカが
所狭しと並んでいた。無類のゲーム好きだった自分は、土曜のたびに
「今日は、ダイエーに行ける」と、ワクワクしたものである。さらに、
その夜は「まんが日本昔話⇒クイズダービー⇒8時だよ!全員集合」の
TBS黄金リレー。実に良き時代であった。
ただ、遊園のダイエーは、駐車場入口が大きな交差点手前にある上、
土曜の夕方ともなると、店に車で来る客と帰る客とが、駅前の狭い
道路(モノレール下をグルリと囲む。橋脚があるので、読売ランド
方面から来ると、一度遊園駅南口ロータリーまで行って、そのまま
ダイエー方向にUターンで戻らないと、駐車場に入れなかった)で
大渋滞を起こしたから、いつも入店するまでが一苦労、帰る時も
チョイ苦労だった事を思い出す。
3Fゲームコーナー以外だと、2F衣料品売り場と専門店の境目の
小階段前に、ジュース売店(休憩スペース)があった。ゲームの
後は、ここでソフトクリームを食べたり、店先に並ぶカラフルな
ジュースサーバー(オレンジ、アップル、パイン、ミルクの4種と
記憶。アクリルの四角い大きなケースが並び、噴水のように絶えず
内部で循環していた)に入った、冷たいジュースを飲んだりした。
売店は、人の好いパートのおばちゃんが応対していた記憶も残る。
また、ゲーセンと同じ3Fのエスカレーター前には「キディランド」
という玩具屋もあって、店内に置かれた「カセットビジョン」等の
展示用ゲームで遊んだ。そういや、同じフロアの隅(駅寄りにある
エスカレーターの前)には、巨大スクリーンとライフルを使った
本格的なクレー射撃ゲーム「ゲータウェイ」も、一時期ひっそり
設置されていた(よみうりランドの「よみうりボウル」にも存在)
買い物を終えた親がゲームコーナーに迎えに来ると、そのまま先述の
ジュース売店に行ったり、1F入口前の焼きそばやソフトクリーム屋台
(そういや、彼処にはペットショップもあった)で軽く食べたりして
帰宅。また、地下のラーメン(軽食)「寿がきや」も大のお気に入りで、
真っ白い汁のラーメンを、フォークと一体の妙なスプーンでがっついた
(注文を待つ間、食券の半券をテーブルに置いていたのを覚えているので、
そういうシステムだったハズ)。あそこのソフトクリームも美味かった。
また、店の敷地内には当時「ドムドムバーガー」なんかもあったから、
帰り際、ドムバーガーやドムシェイクなどをよく食べたものだ。
まぁ、そんな感じで実に思い出深い「ダイエー向ケ丘遊園」だが、
冒頭で紹介した怪しげなカセットテープも、そのダイエーで購入
したものである。食品スーパー側(一番右サイド)入口を入ると、
右手にカメラのフィルム現像など請け負う「サービスカウンター」
的スペースがあって、レコードやカセット等の音楽関連アイテムも、
スペースの片隅に雑然と置いてあった。ある日の帰り際、たまたま
そこで目にしたラックに、このテのカセットがズラッと並ぶのを
見つけた私。収録されている曲がやたら魅惑的だと気づいて、急遽
親に頼んで買って貰った(価格は失念)。因みに、そこで一緒に
購入したのが、コチラのテープだ。
劇場版「機動戦士ガンダムII 哀 戦士(松竹)」のオリジナル・
サウンドトラック(キングレコード)。無論、音声のみ。元々は
2本組のセットだったが、1本目(その1)は遥か昔に、テープが
デッキにグチャグチャに絡んでしまい、あえなく廃棄となった。
ただ、コチラ(その2)はいまだ健在。35年昔に購入した割に、
ほぼノイズのない綺麗な音である(但し、その2(後半)のみ…)。
井上大輔の歌う主題歌や挿入歌もカッコイイ。
あの時、私がアニメ主題歌入りテープにパッと反応したのには、
実は伏線がある。この前年(1980年)辺り、日本コロムビアが
出した「最新アニメベストヒット&ヒット24」という全集モノの
レコードを買って貰ったのだが、収録曲があまりに香ばしくて、
擦り切れるほど何度も聴いていたのだった。銀河鉄道999
(TV版、劇場版)、キャプテンハーロック、ザ・コクピット、
エメラルダスII、キャプテンフューチャー、宇宙戦艦ヤマト、
海のトリトン、ルパン三世、ガッチャマン、サイボーグ009、
野球狂の詩、新巨人の星IIの各作で、全24曲のラインナップ。
今あらためて聴いても、秀逸な作品揃いで圧倒されてしまう。
(註:こちらはパチソンではありません。すべてオリジナルを収録)
そうした背景もあり、ダイエーで遭遇したアニメ主題歌のテープに
自宅のレコードを重ねた私は、「これも聴けたらもっと楽しくなる」
と直感して、どうしても手に入れたくなってしまった。
ただ、家に戻ってラジカセで再生してみると、意外な事実が判明。
てっきり、家にあるレコード同様、「オリジナル」の歌手が歌って
いると思っていたのに、どれもこれも本家とは全く違う人の声で、
胡散臭さにあふれていた。まぁ、当時流行っていた「パチソン」
(パチモノの歌)というヤツだが、買った当初はそういうネタに
詳しくなかったので、結構なショックを受けた。だから、初めは
「仕方なく」聴いていたのだが、徐々に耳が慣れてくると「あれ、
この歌手って、意外と上手いじゃん」と、自分の中で評価が上昇。
(本家より歌唱力があるのでは、と思ってしまうような歌手も…)
そのうち、全く違和感なく最後まで聴けるようになったのだった。
とはいえ、あえてお金を出して別人の歌を聴きたくはなかったから、
これ以外のパチソン作品を買った記憶は、一切ない。
なお、念の為に書いておくと、本作にはきちんとJASRACの
許諾マークも入っていて、「権利関係」はキチッとした作品
(今でいう正式な「カバー作品集」)という位置付けになろう。
出所の不明な「海賊版」などとは、一線を画するものである…
と信じたい(汗)。
因みに、このテープに収録されているのは、
(A面ラベル拡大)
(B面ラベル拡大)
1)「火を噴けライダー拳」(仮面ライダースーパー1)唄:鈴木康夫、マックスファイブ ★高杉俊价、こおろぎ'73
2)「傷だらけの栄光」(あしたのジョー2)唄:鈴木康夫 ★おぼたけし
3)「ソルジャー・イン・ザ・スペース」(Xボンバー)唄:不明(男性A) ★BOW WOW
4)「ウルトラマン80」唄:不明(男性A) ★TALIZMAN
5)「ドラえもんの歌」唄:不明(女性A) ★大杉久美子
6)「カンフーレディ」(ひらけポンキッキ)唄:不明(女の子A) ★吉田美智子
7)「鉄腕アトム」(第二作)唄:不明(女の子Aとバックコーラス) ★コロムビアゆりかご会
(B面)
1)「おじゃまんが山田くん」唄:マックスファイブ ★こおろぎ’73
2)「ユカイツーカイ怪物くん」唄:不明(女の子A) ★野沢雅子
3)「サンバ・デまことちゃん」(劇場版)唄:男性B ★楳図かずお&スーパー・ポリス
4)「ローラーヒーロー・ムテキング」唄:鈴木康夫 ★水木一郎、フィーリングフリー
5)「キャンディ・キャンディ」唄:不明(女性B) ★堀江美都子、ザ・チャープス
6)「星のペンダント」(ヤマトよ永遠に)唄:鈴木康夫 ★ささきいさお
7)「遥かなる旅路」(ほえろブンブン)唄:不明(女性A) ★松尾香
(註1)★はオリジナル(本家)の歌手
(註2)鈴木康夫氏が担当した分は特定。また、テープラベルから、
一部の曲は「マックスファイブ」というグループが歌っている模様。
その他の歌手は、まだ特定できず。参考までに、声質や歌い方など
気になる特徴を以下に記した。
・鈴木康夫:パチソン定番歌手。低音でムード歌謡調。圧倒的な歌唱力(プロのボイストレーナー)。
・マックスファイブ:こおろぎ’73的な男性コーラスグループと思われるが、詳細は全く不明。
・男性A:アイドルチックな歌唱。英語の発音が鼻につく。パチソン常連の藤井健氏とは違う声質。
・男性B:声は若いがクセが強く、粘っこい歌唱。「まことちゃん」なのでわざと変に歌った?
・女性A:正統派。綺麗で丁寧な歌唱。本家の大杉久美子に声質が近い。澄んだ声が特徴。
・女性B:鼻にかかった声。かわい子ぶっているが、年齢不詳感タップリ。音程が微妙に不安定。
・女の子A:いかにも少年少女合唱団出身っぽい、ハキハキした(わざとらしい)歌い方。
★収録曲で昔から気になる点を、幾つか列挙。
・「ソルジャー・イン・ザ・スペース」を、何度も「ソルジャー・ウィン・ザ・スペース」と発音。
・ドラえもん…「ハイ、タケコプター」などの肝心の台詞が無い(これが入ったパチソンも存在)。
・鉄腕アトム…サビ高音部で裏声が続き、子供達が苦しそうに歌う(可哀そうな程に)。
・おじゃまんが…「安田くん、無駄な抵抗」を「山田くん、無駄な抵抗」と、完全な歌詞間違い。
たかだか古いテープ一本についてあれこれ書いてみたが、
果たして需要はあるのだろうか。「カンフーレディ」で
山佐を想起する人なら、少なからずいるかもしれないが。
なお、上記のうち幾つかは「有名アニメのパチソン」として
Youtube上にも散らばっている。興味のある方は、ご検索を。