中学の頃、何とも悔しい形でテストの「100点満点」を
取り損ねた経験が、2回ほどある。
しかも、同じ学年の時、同じ教科で…。
1度目は、中1の1学期の期末試験。
科目は「地理」。担当は、銀縁眼鏡でいかにも神経質な雰囲気の
T先生。女性教師で、年齢は確か30代後半だったと記憶している。
この地理の期末試験を、私は万全の体勢で臨んだ。試験範囲を
チェックペンとチェックシートを駆使して完璧に暗記。教科書・
ノートにある事なら、何でも解答できる状態に仕上げた。その
甲斐あってか、試験の感触は大変に良好。特にひねった難問も
出なかった。自己採点では一問の誤答も見つからず、「100点
疑いなし」と自信満々で結果を待った。
だが、答案を返して貰うと、そこには「95点」と書かれていた。
あれ、どこか間違えたか…おかしいな。そう思って、誤答した
箇所を確認すると、たった1か所だけバツが付いている。よく
見ると、正解を「インドネシア」と記入すべき欄に、私はこう
書いていたのだった。
何だ、ちゃんと正答してるじゃないか。T先生、うっかり採点ミスしたな。
すぐ彼女の元へ行って、「これ、正解なのに間違いになってるんですが」
とアピールした。すると、T先生は冷静な表情で、私にこう言ったのだ。
「これ、『フンドネシア』って書いてあるから、ダメよ。」
えっ?何だよ、それ!!(心の声)
確かに、私が解答欄に書いた「イ」の文字にはかなりクセがあって、
「フ」に見えなくもない。だが、この世に「フンドネシア」なんて
妙な地名が無い事など、誰でも知っている。私が、正解の「インド
ネシア」を書こうとしている事も、当然に伝わったハズだ。しかも、
「100点満点」のかかった大切な所で、たった1か所、そんな細かい
ミスに拘って誤答扱いするなど、あまりにも厳しいのではないか…。
血も涙もないのか、この人は、と腹が立って仕方なかった。
だが、こちらの主張は聞き入れて貰えず、採点は覆らなかった。
待望の100点満点も、「幻」に終わってしまった訳だ。これが、
30数年経っても忘れえぬ、「フンドネシア事件」の全容である。
また、同じ中一の頃、立て続けにこんな「事件」もあった。
次の2学期の中間試験。私は同じ地理で「88点」という結構な
高得点をゲット。だが、答案の返却から数日経って受け取った、
全教科の点数、クラス順位、学年順位などがまとめて書かれた
「成績シート」を見ると、あろう事か、地理の得点が「48点」
と表示されていた。返ってきた答案は、確かに88点でバッチリ
だったのに…おかしい、何かの間違いだ。
私はビックリして、すぐ職員室に駆け込み、T先生に抗議した。
「なんで、自分の点数が48点なんですか!?88点でしょう?」
すると、T先生も驚いた様子で私の成績シートに目を通すと、
手持ちの成績データと照らし合わせて、こう謝罪したのだ。
「あらホント、御免なさい。貴方の点数をコンピューターに
入れる際、入力ミスで間違った数字を入れてしまったみたい。」
何とも、ありえないようなミスである。しかし、既に全体順位が
出てしまった後なので、今更訂正して貰ってもどうしようもない。
今思えば、1学期に「フンドネシア」の件で楯突いたのを逆恨み
されて、T先生に嫌がらせをされたのかな、とも思わなくもない。
ただ、先生は「今回フイになった40点は、次の期末試験の点数に
そっくり上乗せしてあげるので、どうか勘弁してね」とも言った。
まぁ、次も普段通りに勉強して、期末で80点を取ってしまえば、
40点の上乗せがあるので、余裕で100点満点だ。20点くらいは
無駄になるから(120点にはならない)少々勿体ない気もしたが、
私はその申し出を承諾する事にした。
しかし、そういう時に限って、人というのは気が緩むものである。
「40点」ものアドバンテージが最初からある、という油断が祟り、
期末では地理の試験勉強に全く身が入らず、得意なハズの暗記も
見事にサボりまくって、完全に「準備不足」の状態で期末試験を
受けた。当然、点数も芳しくなく、「52点」というヒドい有様。
ボロボロな惨敗の答案が返ってきたのだった。
結局、入力ミスした40点が加算され、2学期末の地理の成績は
「92点」にアップして事なきを得たが、あの時、いつも通りに
頑張っていれば、普通に100点満点を取れたのに…と、今でも
大きな悔いが残る。
という訳で、今回は、パチ・スロと全く関係ない話に終始したが、
ふと思い出した、学生時分の他愛ない思い出を紹介させて頂いた。
それでは、また。
(「100点取り損ね事件」の項、了)