1993年(平成5年)にマルホンから登場したドットデジパチ「麻雀王」
兄弟機「ミスタートランプ」と比べると設置は低かったが、小田急線沿線の何軒かで打った。ハッキリ記憶に残るのは、経堂駅・南口商店街の「TOYOTA」(現存)と、下北沢駅の線路沿いにあった「下北レジャー」の二店。いずれも、連チャンの恩恵は十分受けたが、低確率で釘もシブめで、初当りには苦労した覚えがある。入替も割と早かったな…。
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現在の経堂「TOYOTA」
在りし日の下北沢「下北レジャー」(閉店。現在は「カレイド下北沢」が営業)
(スペック)
★賞球…7&15
★大当り確率…1/249
★大当り図柄…15通り ⇒一萬~九萬、東、南、西、北、中、一索(鳥)
★連チャン性…あり ⇒保1~保4で連チャン(連チャン率=19.93%)
★盤面左右にラッキーナンバー用ランプ(1~8) ⇒「3、7継続、4、8終了」等、LN制ホールで重宝
★兄弟機種=2機種(CRも含めると3機種)
・同時発表=「ミスタートランプ」(1993年)
・後続機=「雀遊記」(1993年)
⇒賞球数(7&15)、ドットモニタ、ゲージ構成、LNランプは、3機種共通(但し、確率や図柄は異なる)。
・ミスタートランプ…大当り確率:1/239 コチラは文字通り、トランプがモチーフのデジパチ。保留連チャンもあり。CR版は「CRトランプマン」。
・雀遊記…大当り確率:1/253。本機と図柄はほとんど同じだが、三元牌の「白」「発」を新たに追加。また、本機で大当り図柄だった一索(鳥)は、中デジタルのみ存在する「チャンス図柄」(ハズレ図柄だが、一索で止まると、大当り確定の再始動になり易い)に変更された。保連率は本機より低めだが、実戦では数珠連も多かった(解析値は調査中)。
(デジタル)
ドットデジタルの「麻雀モノ」というと、旧要件機の代表格の1つ「エキサイト麻雀3」(ニューギン、1989年、後継機は「エキサイト麻雀5」(1990年))がピンとくるが、あのシンプルなドットと比べると、本機のデジタルは、(当時にしては)かなり洗練されていた印象が残る。
(もちろん、「シンプル」にも、シンプルならではの「味」があったが…)
「赤・オレンジ・緑」のマルホンらしい3色カラードットで、麻雀牌(萬子が中心)を巧みに表現。そういえば、本機や兄弟機のカラフルなドット画面は、当時「3D立体デジタル」とよく紹介された。まぁ、実際は、「3D」というほど浮き上がって来ないが、リーチ時の中デジの独特な動きは、それなりに立体感があって面白かった。
因みに、機種名の「麻雀王」は、旧要件機の「麻雀王4号」(京楽、1989年)を想起させるが、本機とは何の関係もない。古い機種と名称が被ることなど、大して珍しくもなかった。
そうそう、京楽の麻雀モノでは、新要件の初期に出たブロック液晶の「ウルトラ麻雀(3)」(1991年)も懐かしい…。また、西陣の麻雀ドット物には、「スーパー麻雀」(1992年)なんてのもあった。
他にも、お馴染みの「麻雀物語(II)」(平和)をはじめ、「麻雀物語・クイーンVer」(ブラボークイーン)(平和)、「麻王」(西陣、セル違いの先行導入機は「ルーキービジョンP5」)、「ドラドラ天国3」(豊丸)、「雀姫物語」(平和)、「大三元」(平和)、「レモン牌」(平和)、「ピーチパイ8」(平和)、「ピーチパイ娘」(平和)、「CRピーチパイシスターズ」(平和)、「CRピーチパイV」(平和)、「CR麻王伝説EX」(西陣)、「雀士ウーロン牌V(V2、V3)」(マルホン)、「CRツモツモ王国南二局」(豊丸)などが、90年代の麻雀モノとして挙げられよう。さらに細かい所では、三星の「杏仁豆腐」「小龍包」や、豊丸「勝負伝説」なども、麻雀牌の「中」が図柄に使われていたので、麻雀絡みといえる。
そうそう、サミーの「雀魔王」も、90年代に出回ったカラー液晶の雀球だった。また、有楽町の名店「かもめ」で打った昭和レトロな手打ち雀球(里見工業=サミーの前身)も、私が90年代に遭遇した思い出の一台だ(中野の「東京プラザ」には、藤商事の手打ち雀球も置いてあったらしい…)。
こうしてみると、90年代・麻雀モノの機種は、デジパチ、権利物等のカテゴリーを問わず、なかなか味わい深く、記憶に刺さるものが多い。
では、話を本題に戻そう。
一方、メインデジタル上部には、「エキサイトメーター」と呼ばれる3色のLEDランプが付いていた。
(当時、「エキサイト」はニューギンの冠名だったが…まぁ、藤商事もアレパチ「エキサイト」を出してたし、大同にも「エキサイトビジョンDII」ってのがあったから、特に問題ないだろう。)
リーチが掛かると、この小さなLEDが、左端から緑⇒オレンジ⇒赤という具合に、徐々に点灯していく。
メーターの動きは、中デジタルの動きと同調していた。大当り図柄が近づくと点灯数も増えて、大当り図柄に到達するとLEDも右端に届き全灯となる。大当りを超えるとランプは消え、再び左から順に点灯する(スーパーリーチ時は全灯が続く)。
ただ、こうした派手な動きの割には、大当り判別にはあまり役立たない、盛り上げ用の「お飾り」であった。
因みに、エキサイトメーターは、兄弟機「ミスタートランプ」「雀遊記」にもあって、動きも全く同じ。
なお、大当り中は、ドットに「孫悟空」にまつわるデモ画面が出てきて、打ち手を楽しませた。
(リーチアクション)
デジタル停止順は左⇒右⇒中の順。
左右テンパイでリーチが掛かると、中デジの麻雀牌が「奥に倒れる⇒起き上がる」の動きを繰り返しつつ、1コマづつ進んでいく(「ミスタートランプ」の場合、中デジがカードのようにパタパタ・クルクルと横回転)。あたかも、中デジが「腹筋運動」しているかのような、コミカルかつ立体的な動きであった。
リーチには、「ノーマル」「ロング」「一索(イーソー)再始動」「二段階」の計4種類が存在する。
ハズレ時はノーマルかロングしか出ない。一方、大当り時は、ロング、一索再始動、二段階の何れかを選択する。ノーマルのままでは当たらない。一索再始動と二段階は、大当り確定のアクション。
(a)ロング…ノーマル2周目にサウンドが変わり突入。大当り手前5コマからスローに切り替わり、大当りか前後1コマで停止する。
(b)一索再始動…中デジが「一索(鳥の図柄)」でいったんハズれた後、再び動き出して大当りとなる。なお、一索リーチの時にこのアクションが選択されると、一索の1コマ手前にある「中」から再始動するので、次に挙げる(c)「二段階」と同じ動きをする(一索⇒一索と再始動する事はない)。
(c)二段階…大当り図柄の1コマ手前でいったんハズレた後、中デジが1コマ「パタン」と進み当る。
※大当り時のリーチ選択率…ロング:64.7%、一索再始動:23.5%、二段階:11.8%
(大当り判定及び連チャン)
本機の大当り抽選は「一発判定方式」である。大当り判定用カウンタは「0~248」の249コマで、当選値は「60」。よって、大当り確率は1/249。
また、連チャン(保留連)については、大当たり後の最初の4回転に限って、無条件で保留エリアの乱数を特定値に書き換える。
この時、新たに上書きされる値は、18/37で「52」(ハズレ乱数)、17/37で「56」(ハズレ乱数)、2/37で「60」(大当り乱数)となる。即ち、保留1つあたりの連チャン率は「2/37」(約5.4%)で、保留4つのトータル連チャン率は、1-(35/37の4乗)≒19.93%となる。
(「連チャン率約26%」とする資料もあるが、解析値による裏付け無し)
なお、本機の上書きの「カラクリ」については、いわゆる「スタックオーバーフロー(スタックパンク)」による書換えではなく、「スタックの起点を意図的にずらす(一時保存データを途中部分から取り出す)」ことで、保留エリアの上書き処理(命令)が行われる、というもの。
また、大当たり終了時、保留が1個もついていない場合でも(現実的には、ほぼあり得ないが)、大当り後の最初の4回転については、強制的に乱数を書き換える仕組み。この辺りは、数珠連的な要素を感じる。
なお、本機には、保4空けやアタッカーフルオープン等、有効な連チャン打法は存在しない。誰が打っても平等に連チャンする(「たそがれ連チャン機」「無差別連チャン機」なんて表現も、当時使っていたな…)。
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麻雀王(マルホン、デジパチ)
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